さぴあインタビュー/全国版
人と人との交わりを軸に
豊かな学力と人間力を育み
希望の未来へと送り出す
芝中学校・高等学校 校長 武藤 道郎 先生
学校は卒業生たちの故郷であり
心の拠り所であり続けたい
武藤 東大をめざして浪人している卒業生が何人かいて、そのなかに本校でいつも遅刻していた者がいました。今も予備校で遅刻しているのではないかと思ったら「予備校は30分前には行ってます」と言うので、「どうして芝では遅刻していたんだ」と聞いたら、「ちょっと甘えちゃうのかな」なんて言っていました(笑)。そのことばがわたしはうれしいんです。甘えられる場所だということが。世の中、理不尽なことが多く、そんななかで夢を追ってがんばっている子どもたちにとって、ほっとできる場所があるといいと思います。卒業してもそういう場所があって、後輩たちのために何かできることはないかと戻ってきてくれるとうれしいですね。
神田 それこそ「報恩」、恩を知り、恩を伝えていくということなのでしょうね。
武藤 わたしは卒業式でいつも「芝はみんなの故郷だ」という話をします。故郷というのは心の拠り所であり、人間が生きていくうえでとても大事なものだと思います。
谷口 卒業生の皆さんも書いていますよね。「芝は故郷だ」と。
武藤 毎年、たくさんの卒業生が来てくれます。後輩に向けて、大学での学びや仕事のこと、それから今の社会がどう動いているか、といった話をしてくれます。また、ICT支援員のような形で、後輩たちがタブレットを使うのをサポートしてくれる卒業生もいます。「明日は大学の授業が2限からだから、朝一番で芝に行くよ」なんて言ってすぐに来てくれます。ありがたいことです。
神田 最後に、中学受験を控える受験生と保護者の方にアドバイスをお願いいたします。
武藤 子どもたちには「私学を受けさせてもらえるのはありがたいことなんだよ」と伝えたいですね。保護者の方は、“俳優”に徹して気持ちよく受験に送り出していただきたいと思います。受験が迫ると「いつもどおりに」と言いながら、保護者の方はいつもどおりの顔をしていません。「今日は決戦の金曜日」みたいな臨戦状態のようになってしまいますから(笑)。それから、子どものことで親がけんかしないことが大事です。話があるときは外にコーヒーでも飲みに行って、子どもから離れて話してください。
福泉 おっしゃるように、中学受験ができること自体がありがたいことです。わたしも「支えてくれた人たちへの感謝を忘れてはだめだよ」と、よく生徒たちに言います。
神田 先生のお話で、芝学園がどれだけ楽しい学校で、どれだけ先生方が努力して一人ひとりに細かく目を配っていらっしゃるかがよくわかりました。本日はありがとうございました。
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