受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

2026年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 慶應義塾中等部

親子だけでは歩めなかった受験の「軌跡」

 息子はサピックスに4年生から通塾した。6年生になると、息子は「勉強は自分で管理する」と言い張り、親の介入を拒むようになった。その気概を頼もしく思う反面、私は「この勢いが最後まで持つのだろうか」と一抹の不安を抱いていた。

 その予感は、夏以降に的中する。模試のたび、算数で見たこともないような低い偏差値を連発するようになったのだ。一向に上向かない数字を前に、私は「サピックスではなく、個別指導の方が合っていたのではないか」と、選んだ道を疑い、焦燥感に駆られていた。

 しかし、くよくよしていても始まらない。12月後半、私たちは腹を括った。算数を徹底的にやり直そうと息子と話し合い、サピックスの先生からのご助言を踏まえて、膨大な「Daily SAPIX」のプリントを範囲ごとに段ボールへ仕分けた。食卓の横に整然と並ぶ教材を見て、息子から「ありがとう」という言葉が漏れた。その時、胸が締め付けられた。こんな当たり前のサポートすら、私はできていなかったのだ。そこからは、祖父も加えた家族総出の復習の日々が始まった。

 迎えた2月1日。「全然緊張しないよ」と、息子はいつも通りの様子で試験場へ向かった。しかし現実は甘くない。初日の不合格を知り、息子は落胆の表情を見せた。妻と共にサピックスへ相談に行くと、先生は親身に状況を分析し、追加受験を提案してくれた。そのおかげで、1校から合格をいただけて、ようやく家族に安堵が広がった。

 だが、ドラマはまだ終わらない。4日、2日受験校の二次試験に向かった息子の様子がおかしい。「緊張しない」と言っていた彼が、極限のプレッシャーで体調を崩してしまったのだ。体育実技を断念し、代わりに作文を書いたと学校の方から報告を受けた。控室に戻ってきた息子の表情は青ざめ、涙目でボロボロだった。何とか面接を乗り切ったものの、全員が満身創痍だった。

 その帰り道、私たちは再びサピックスへ立ち寄った。すると、お世話になった先生方が息子を囲み、温かい言葉で、手を握って、息子を励ましてくれている。すると、息子の瞳に、みるみる生気が戻っていった。

 そういえば、息子は先生方からの寄せ書きを、お守りのように何度も読み返していた。親子だけで戦っていたのではない。息子は先生たちと確かな絆を築き、共に歩んできたのだ。その事実に、私は今更ながら気づかされた。

 最終日の5日。息子は見事に緊張に打ち勝ち、体育実技を突破した。親子面接でも、家族全員が堂々と受け答えを終えた。

 結果は、合格。正直、偏差値で見れば、大いなるチャレンジだったかもしれない。しかし、この合格は奇跡ではない。息子とサピックスの先生たちが積み重ねてきた「軌跡」が結んだ、必然のゴールだったのだと思う。支えてくださったすべての先生方に、心から感謝を伝えたい。