さぴあインタビュー/全国版
多様な挑戦を重ねながら
世界に目を向けて未来を開く
「タフで愛ある女性」を育てる
鷗友学園女子中学高等学校 校長 柏 いずみ 先生
「女性が社会で活躍するために」
理想の教育を求めて90年前に創設
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹
神田 来年、創立90周年を迎えられる歴史ある学園です。初めに、沿革についてご紹介いただけますか。
柏 本校は1935(昭和10)年、東京府立第一高等女学校(現在の都立白鷗高等学校・附属中学校)の同窓会である鷗友会によって設立されました。それまで第一高女の校長を務めていた市川源三は、良妻賢母が当たり前だった時代に、「女子もきちんと高等教育を受け、社会のなかで自分の能力を発揮して活躍すべきだ」という考えを持っていました。そうした理念に賛同した卒業生たちが、市川がめざす教育を行う学校をつくろうということで、寄付金を集めて設立したのが本校です。
設立から5年後、市川は亡くなり、後を継いだのが石川志づです。石川は無教会派のキリスト教指導者である内村鑑三の弟子で、津田梅子にも薫陶を受けた人です。文部省(現在の文部科学省)から委託を受けて海外視察に行った経験もあり、海外で優れた女性たちが活躍するのを見て、日本にもこういう女性を育てる教育が必要だと考えたのだと思います。今はグローバル教育が当たり前の時代ですが、当初からそうした意識を持って理想の教育を考えていました。
神田 校訓の「慈愛と誠実と創造」は、キリスト教の精神に基づく理念ですね。どのような意味でしょうか。
柏 「慈愛」はキリスト教でいう「純粋な愛」で、一人ひとりが大切な存在だということです。「自分なんか」という思いを持つ人もいるかもしれませんが、その弱い部分もすべて含めて、あなた自身はとても尊いものです。そして隣にいる友だちも同じように尊い存在です。お互いにそれを大切にして、共に生きようということです。「誠実」は、聖書では「賜物(たまもの)」といいますが、一人ひとりに自分らしい可能性があり、それを見つけて一生懸命に学んで高め、得たものを社会のため、人のために生かせる道を探すということです。
そして、「慈愛」と「誠実」を持って、新しいものを生み出すのが「創造」です。自分が正しいと思う価値観に固執せず、人とかかわることで見えてくるものを積極的に見いだしてほしいと思っています。
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