受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

多様な挑戦を重ねながら
世界に目を向けて未来を開く
「タフで愛ある女性」を育てる

鷗友学園女子中学高等学校 校長 柏 いずみ 先生

英語力があるからこそできる
国内外で行う国際理解プログラム

キャプションあり
上/実習園に向かう途中にある「流れの小径」と呼ばれる癒やしスポット
下/中1・高1の園芸の授業が行われる実習園。園芸は創立以来、総合学習の一環として実施されています

神田 国際理解プログラムとしては、海外に渡航して行うものと国内で行うものとがあります。渡航プログラムは、アメリカのチョート校のサマースクール、イギリスのチェルトナム・レディースカレッジのサマーコース、そして韓国のハナ高校で行われる国際シンポジウムなど、多彩なプログラムが用意されていますね。

 一方、国内では、巣鴨中・高とのコラボによる「ダブルヒーリックス」が注目されます。基礎知識と高次の思考力の二つを意識して、みずからを高めていくプログラムで、わたしも巣鴨の先生にお話を伺ったことがありますが、すばらしい試みだと思います。

 「ダブルヒーリックス」では、異なる医療の第一人者をイギリスより招き、セッションを行ってくれます。今年もオックスフォード大学やケンブリッジ大学などのレベルの講師が4人来てくださいました。海外に行くには時間やお金がかかります。行きたくても行けない人たちのために何かしようと始まったのがこのプログラムです。すべて英語ですから参加する生徒たちは大変で、課題をこなすのにも苦労しているようです。「ダブルヒーリックス」には市川中・高で行うプログラムもあります。年度によってさまざまな学校と一緒に参加しているので、その意味でも良い刺激になります。

神田 本当にすばらしいプログラムをたくさんお持ちですね。

 学校がすべて用意し、生徒は黙ってそこに参加するのではなく、学校は複数準備し、生徒はそのなかから自分で選び取って参加する。それが本校のやり方です。自分で選ぶからこそ成果を出せる面もあると思います。

岡本 オンラインプログラムにもさまざまなものがありますが、どれも英語力がないとできません。その意味では、これだけのプログラムが用意できることは、貴校の実力の証しでもありますね。

 生徒たちにとっては、このプログラムに参加できるだけの英語力をつけようというように、具体的な目標になっています。本校も今年から、個別にグローバル関連のアドバイスができる体制を整えました。イギリスのハロウ校で教えた経験のある講師が、生徒が「こういうことがやりたい」と言えば、それぞれの英語力や興味・関心に応じて、外部のテストや目標スコアなど、具体的にアドバイスしています。

神田 卒業生のなかには、専門性を深めて海外で活躍している方など、広く国際的な活動をされている方がたくさんいますね。フォーブス・ジャパンの「世界を変える30歳未満30人」に選ばれた方も複数いらっしゃいます。

 今年の創立記念日には、その30人の1人である福田和子さんに話をしてもらいました。福田さんはスウェーデンに留学したことをきっかけに、「性と生殖に関する健康と権利」の実現をめざす活動を始めて、国連や東大でジェンダー平等のための仕事もしています。彼女は中学のときに運動部で挫折を経験したことで、非常にブルーな時期があったそうです。でも本校での授業をきっかけに、やりたいことを見つけ、それを手にするために英語をがんばったといいます。そんな自分の経験から「身につけた知の力はあなたを守ってくれる」という話をしてくれました。

 創立記念日には毎年、卒業生に講演をしてもらっています。さまざまな分野で活躍している人が来てくれますが、良いことばかりでなく、つらかったこと、うまくいかなかったことを話してもらうようにしています。先輩を単に「成功した偉い人」と見てほしいのではなく、同じこの学び舎(や)で過ごしてきた先輩が、どんなところからスタートしたのかを聞いてもらいたいからです。

24年10月号 さぴあインタビュー/全国版:
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