さぴあインタビュー/全国版
多様な挑戦を重ねながら
世界に目を向けて未来を開く
「タフで愛ある女性」を育てる
鷗友学園女子中学高等学校 校長 柏 いずみ 先生
主要教科の授業に偏ることなく
広く社会で役立つ力を身につける
サピックス小学部
教務本部
岡本 茂雄
岡本 鷗友学園というと、特に英語教育が知られています。授業は中1からオールイングリッシュで学ぶそうですね。
柏 赤ちゃんは、周りの人が話すのを聞いてことばを覚えます。それと同じように英語を学ばせたいという発想が、本校で約20年前にスタートしたオールイングリッシュの考え方です。完全に理解してから使うのではなく、意味はわからなくても、音を聞き、リピートしながら使ってみることで、少しずつ慣れていくところから始めます。それを支えるものの一つが、英語の本をたくさん読む「多読」です。最初は薄い絵本から始めて、中1の1年間でおよそ10万語、中学3年間で100万語を読むことを目標にしています。
神田 一方で、聖書の授業が中学の3年間、週1時間ずつあります。ここでは宗教画を鑑賞したり、讃美歌に触れたりする時間もあるそうですね。
柏 宗教というと、信じるか信じないかという話になりがちですが、宗教を知っていれば、文化や芸術、社会や政治の理解にもつながります。たとえば絵画を見るとき、聖書のどの場面を描いたものかわかればより豊かな鑑賞ができます。音楽にしても、どのような信仰が背景にあってその曲が生まれたのかを知れば、理解はさらに深まります。
岡本 音楽の授業では、ヘンデルの「メサイア」のハレルヤ・コーラスを原語で歌うと聞きました。美術では金箔(きんぱく)を使った水墨画も描くそうで、どれも本格的ですね。
柏 美術では、二科展の審査員をするような方を講師として招いており、生徒たちはとても恵まれています。そこから芸術に目覚める生徒も少なくありません。本校には美大や音大への進学希望者を対象とした芸術選択コースがあり、東京藝術大学に複数の進学者が出る年もあります。
神田 芸術選択の授業は、希望者が1人でも開講すると伺って驚きました。
柏 生徒たちがやりたいものなら、何でも学校として応えてあげたいと思います。1人でも希望があれば喜んで授業をします。
岡本 教科ではありませんが、中1・2のホームルームのなかで「アサーショントレーニング」を行っているのも特徴の一つですね。
柏 専門のトレーナーの方が指導する、コミュニケーション力をつけるためのトレーニングです。自己主張の方法をアグレッシブ(主張型)、ノンアサーティブ(非主張型)、アサーティブ(主張と非主張の混合型)に分け、さまざまな場面を設定して、実際にやりとりをして感想を話し合います。たとえば、友人に貸した本が、破れて返されてきたのに、何も言わない人がいたとします。「怒らないなんて優しい」と思う生徒もいれば、「相手は破ったことに気がついていないかもしれない。何も言わないと、謝ることもできない」と思う生徒もいます。コミュニケーションに正解はなく、同じことをしても、人によって受け止め方が違います。それに気づけば、客観的な見方ができるようになっていきます。それはふだんの社会生活はもちろん、国際理解にも役立ちます。
神田 そうした力が身につけば、海外に行ったときにも、違う文化、違う価値観の人たちとつながりを見つけていくことができるように思います。
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