古典作品から好きなテーマを抜き出し
プレゼンテーションにまとめる
入試広報室副室長・国語科の松尾和明先生。「生徒たちには、素朴な疑問に向き合うことを大事にしてほしい」と話します
編集部が訪れたのは、中2の「古典」の授業です。特有の語彙の習得などでつまずき、苦手意識を持ちやすいともいわれる古典。同校では、古典文学により親しむため、作品について興味を持った点などをプレゼンテーションにまとめ、授業で発表する取り組みを行っています。
現在、中2生が取り組んでいる作品は『平家物語』です。鎌倉時代に成立したとされる、平家の栄華と没落を描いた軍記物語です。授業の最初には、「祇園精舎の鐘の声」で始まる有名な冒頭部を、クラス全員で読み上げました。
続いて、生徒たちはタブレットを開き、『平家物語』を読みながらプレゼンテーションのテーマを探し始めました。中高生向けの古典作品が読み放題のサイトも利用しながら、『平家物語』が描かれた背景や当時の文化などを深掘りしていきます。
「『平家物語』では源義経や那須与一の物語が有名ですが、それ以外にも、妖怪が登場するエピソードなど、興味深いポイントがいくつもあります」と説明するのは、入試広報室副室長・国語科の松尾和明先生です。松尾先生のアドバイスを参考に、さっそく興味深いテーマを見つけて、スライドの作成に取り組んでいる生徒もいました。
なお、授業や調べ学習では、ICT機器はもちろん、必要に応じてAIも活用します。「AIに『平家物語』のおもしろい部分などを聞いてみると、参考になるたくさんの情報を出してくれるはずです。ただ、AIが出す情報は正確ではない場合もあるため、必ず出典を確認するようにしましょう」と松尾先生。生徒たちはAIを使う際の注意点についても、授業を通して学んでいきます。
生徒たちが夢中になって調べ学習をしているうちに、50分の授業はあっという間に終了しました。「プレゼンテーションのスライドは、文章だけでなく、絵やアニメーションを用いても構いません。ぜひ、おもしろいスライドを作成してください」と松尾先生は伝えました。
古典作品を通して
素朴な疑問に向き合ってほしい
授業を担当した松尾先生は、古典を指導するうえで意識していることを、次のように説明しました。
「古典作品は、教科書にはごく一部分しか載っておらず、作品の全体像を理解してほしいと考えています。『平家物語』についても、教科書の一部分を学ぶだけではなく、プレゼンテーションの作成を通してさまざまな場面に触れることで、作品への理解を深めていく狙いがあります」
こうした学習は、『平家物語』以外の古典学習でも行われています。『枕草子』では、作品に収められた多くの章段から、生徒が自分の興味のあるものを選び、スライドにまとめて発表しました。「清少納言の人物像について考えたり、作品に登場する動植物について調べたりするなかで、『インターネットもない時代に、作者はどこから情報を得たのだろう』といった素朴な疑問が生まれることもあります。そういった疑問に向き合う機会を授業でつくっています」
生徒の興味は、ときに先生の予想を超えて広がります。中1の百人一首の学習では、恋の歌に登場する「さしも草」に興味を持った生徒が、その植物について詳しく調査。そして、現代の視点から健康面での効能などにも着目し、「恋心を伝える歌のなかに、健康でいてほしいというメッセージも込められているのではないか」と考察して、プレゼンテーションで発表したそうです。
「そんなところに疑問を持つのかと、わたし自身も生徒の着想から新たな発見をすることがあります。それぞれ異なる視点から発表することで、生徒同士で互いに刺激し合うのも、この学習の魅力だと感じています」
松尾先生が古典の学習で身につけてほしいと考えているのは、知識だけではありません。「古典はいろいろな価値観を学べるものです。作品に描かれた人々の生き方に触れることも大切にしています」と松尾先生。たとえば『平家物語』では、さまざまな人物の生き様や死に様、そこに込められた覚悟や決意を読み取ることで、作品のテーマである無常観への理解も深まります。「古典の世界に描かれた多様な価値観に触れることは、現代を生きる生徒たちが自分自身の生き方を考えるうえでも、貴重な経験となるはずです」と説明しました。
古典作品を通して自分なりの「問い」を見つけ、それを仲間と共有する。そんな学びの積み重ねが、生徒たちの知的好奇心を育んでいます。
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『平家物語』のうち、「那須与一」で使用されている語句を解説
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4人グループを作り、調べ学習を行う生徒たち。「どんなテーマにする?」と相談する声も聞こえてきます
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書籍やICT機器はもちろん、AIも必要に応じて活用します
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テーマ探しで悩む生徒に声を掛ける松尾先生。アドバイスを参考に、物語をより深掘りします
獨協中学・高等学校
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