3年目を迎えた新コース
1クラス限定のカリキュラムで学ぶ
副校長 金子 智之 先生
広野年々受験者数が増加し、難度が上がっています。新しいコースも開設されたそうですが、どのような内容でしょうか。
金子八千代松陰学園では創立以来、「わかる指導」と「国際社会で活躍できる教養人の育成」を大切にしてきました。高校を先に開校し、中学校を1982年に開校してからは、中高一貫教育に力を注いでいます。そのなかで、より高みをめざしたいという生徒のために、1991年に高校へ設置したのがIGS(特進・Intercultural General Studies)コースです。難関大学受験に対応できるハイレベルな授業を展開するとともに、将来、グローバルな社会で活躍するための素養を身につけるプログラムを備えています。
その教育を中高6年間に広げ、2024年度にスタートしたのが、「IGS(6カ年特進)コース」です。「最難関大学への進学」「キャリアデザインの構築」「グローバル感覚の確立」を目標に、グローバルな視点を育みながら、大学入試にも高いレベルで対応します。確かな学力と幅広い教養を身につけ、みずからの力で未来を切り開く人材を育てます。
広野「IGS(6カ年特進)コース」は現在、1クラスのみなのですね。
金子はい。1クラス限定・定員30名だからこそ、生徒一人ひとりに目が行き届き、柔軟で密度の高い教育を実現しています。生徒の興味や学びの状況に応じてきめ細かく対応できるのも、少人数制ならではの魅力です。
広野6年間クラス替えがないのも特徴の一つです。
金子よく質問されるのですが、クラス替えがないことによるデリメットは見当たりません。クラス替えがないからこそ、人間関係を大事にできるというメリットが大きいと感じます。縦のつながりも強く、高校のIGSの生徒が勉強を教えに来てくれることもあります。部活動の先輩とも仲良くなるなど、さまざまな場面で人間関係を広げることができます。
学習ビジョンをみずから描き
キャリア実現に全力で取り組む
広野現在、IGS(6ヵ年特進)コースに在籍する生徒はどのように学んでいるのでしょうか。
金子現在、中1から中3までの生徒が在籍していますが、とても熱意があり、思考力と学習意欲の高い生徒が集まっています。学習面ではよい形で競い合っていて、たとえばこの夏休みに、中2でいちばん多かった生徒は1万8000分も勉強していました。クラス全体の平均勉強時間も昨年から大きく伸びています。自分たちで考えてクラスのボトムアップをしている感じです。
広野受験を終えて中学に入学すると、どうしても中だるみが起きがちですが、そうではないのですね。
金子大学受験がゴールではなく、こういう研究をしたいからこの大学に行きたいと決めている生徒が多いからだと思います。中1の段階から6年間の学習ビジョンを描き、偏差値や成績を上げるためだけではなく、将来やりたいことを実現するというキャリア意識を持って勉強に取り組んでいます。
土曜日にさまざまな分野で活躍する方々を講師に招く「土曜講座」や、コース独自のキャリアプログラムも充実しています。また、夏休みには自分でテーマを設定して行う研究を課しています。
広野定期試験も行わないそうですね。
金子定期試験の点数で競うようになると、短期的な記憶ばかりが評価されてしまい、そのせいでモチベーションを落としていく生徒を何人も見てきました。テストで点を取るためではなく、「本物の学力」を身につけるために、IGSコースでは定期試験を実施していません。他クラスの生徒が定期試験を受けている時間帯を活用して、校外学習のほか、大学の先生や社会で活躍するプロフェッショナルを招いた特別授業を実施しています。
中1の2月に実施されるベトナム研修では、事前学習に取り組んだ後、現地で社会問題や環境問題をリサーチしてプレゼンテーションまで行います
探究学習では中1でベトナムへ
“世界視点”で学びを深める
サピックス
教育事業本部 本部長
広野 雅明
広野6年間を通した探究プログラムも充実しています。中1からベトナム研修に出掛けると聞きました。
金子中1の2月に実施するベトナム研修では、姉妹校を訪問して授業を受けるほか、現地でのフィールドワークをもとにプレゼンも行います。生徒たちは事前学習に取り組んだ後、ベトナムの社会問題や環境問題を現地でリサーチして、その成果を英語でプレゼンします。その際、現地の人々からは「日本のように恵まれた環境の人たちに言われてもまったく響かない」「日本と違ってごみ処理インフラが整っていないのに、ごみを燃やすなと言われても困る」などとはっきり言われ、生徒たちは大きな衝撃を受けます。先進国の視点や正論だけでは通じない「現実の複雑さ」を直接突きつけられる貴重な機会となっています。また、英語の授業で現地の生徒が流暢に話す様子を見て挫折を味わった生徒は、帰国後には勉強の仕方が変わってきます。ベトナム研修は世界基準で自分の学びを俯瞰し、そのうえで6年間の学びに向かっていくためのプログラムとなっています。
広野貴重な経験になりますね。それを中2以降につなげるイメージなのでしょうか。
金子ベトナム研修の後は国内に目を向け、各地の課題解決に向けた探究に取り組みます。中2での奈良・京都への修学旅行でも現地でフィールドワークを行います。高校生になるとアメリカ研修に出掛けます。ニューヨーク州立大学とも提携していて、さまざまなプログラムを計画しています。ベトナム、日本、アメリカでの研修を経て、高3ではその成果を卒業論文にまとめます。
広野6年間の体験を通じて大きく成長できそうです。
金子生徒には常に挑戦を呼び掛け、「難しい」「大変」という感情論ではなく、「どうすればよいか」という目的思考で行動することを求めています。探究のスキルが身につけば、日々の勉強にもそれを生かすことができます。
広野最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
金子IGS(6ヵ年特進)コースは、毎年どんどん進化しています。新入生には今よりさらにブラッシュアップしたIGSコースが提供できるでしょう。ぜひIGSの学びに注目していただきたいと思います。