併設校の強みを生かした
多彩な体験型プログラム
校長 梅原 章司 先生
広野校長に着任されて半年が経ちました。学校の印象をお聞かせください。
梅原いちばん驚いたのは、教育理念である「知耕実学」の精神が、本校のすべての教育活動に深く浸透していることです。知耕実学とは、「本物に触れる経験(=実学)を通して、知を耕す」という意味を持つことばです。机上の勉強のみならず、数多くの体験も重ねて、生徒たちの学びを豊かにしたいという思いにあふれた学校だと感じます。
広野2025年度から高校募集を停止し、完全中高一貫校になったことに加え、同じ東京農業大学の併設校である稲花小学校からの卒業生の受け入れも始まりました。多様な個性を持った生徒たちが通っていますが、そのなかで貴校が求める生徒像を教えてください。
梅原わたしがよく学校説明会などで話すのは、「大人が気づかないような小さな事象に疑問を持つことのできる子」「その疑問を自力で解決しようとする姿勢を持つ子」です。教科書に書かれていることや大人の言うことをうのみにせず、自分が納得のいくまで真実を求めようとする子であれば、本校が大切にする「知耕実学」の教育で得た学びを、その後の人生に存分に生かせるのではないかと考えています。
広野「知耕実学」に基づく教育について、具体的な例を教えていただけますか。
梅原たとえば、中1の北海道自然体験研修では、道東エリアに出掛け、野菜収穫体験、新巻鮭作り、知床および釧路湿原での自然観察などを行います。
また、東京農業大学の協力の下、中1は稲作、中2は米の研究、中3はみそ作りと、学年ごとにテーマを変え、アカデミックな観点から食文化の成り立ちを学ぶのも特徴の一つです。
広野併設校の強みを生かしたユニークなプログラムですね。ほかにも高大連携の試みはあるのですか。
梅原本校を含めた東京農業大学の併設校3校の生徒は、大学による「STEAM教育講座」をオンラインで受講することができます。テーマはアメリカザリガニから麹菌、ドローンまでさまざま。ここで一定の成績を収めた生徒が農大に進学する場合、入学後に単位認定される仕組みで、ひと足早く大学レベルの学問を体感できる良い機会となっています。
自分の適性や興味を見つける
「一中一高ゼミ」や「課題研究」
広野そのほか、特徴的な取り組みについて教えてください。
梅原放課後や長期休暇中には、学年を超えて誰でも自由に受講できる「一中一高ゼミ」を開講しています。先日は、傘ブランドの社員の方に来ていただき、「日傘」をテーマにしたゼミを実施しました。日傘の効能と効果的な使用法、人混みのなかで使用するマナーなど、日傘という身近なアイテムを科学的な観点からあらためて見直す興味深い内容に、生徒たちは真剣な表情で耳を傾けていました。
広野探究活動も盛んですね。
梅原本校では、中1から高1にかけて、関心のあるテーマを深く掘り下げる「課題研究」に取り組みます。フィールドワークやアンケートを実施するのはもちろん、関係者に取材のアポイントを取りつけるのも生徒自身です。生徒たちはこうした活動のなかで見つけた自分の適性や興味を、将来の進路選択に役立てています。
広野海外研修も積極的に行われているそうですね。
梅原中3では、学年全員でシンガポール・マレーシア修学旅行に行き、企業訪問や農村体験を行います。希望者を対象としたものでは、「オーストラリア夏期海外研修」「ブレイクスループログラムinシアトル」(いずれも中3~高2対象)などがあります。オーストラリアでは2週間のホームステイを、シアトルではワシントン大学を拠点に、英語でのディスカッションやプレゼンテーションに挑戦します。
最近は、「海外に興味がある」といっても、語学力を磨きたい生徒もいれば、最先端の教育や研究を見たい生徒、途上国の生活を知りたい生徒などもいて、そのニーズはさまざまです。今後は、それぞれの要望に応えられるよう、海外研修プログラムをさらに充実させていきたいと考えています。
中2では隣接する東京農業大学の教授指導の下、新米と古米の鮮度判定などを実施。中3ではみそ作りを通じて発酵の作用を学んでいます
2月4日の入試を廃止し、
2月1日午前の定員を増員
サピックス
教育事業本部 本部長
広野 雅明
広野今後の展望を教えてください。
梅原15年後の2041年に、東京農業大学は学校法人としての創立150年を迎えます。現在は、それに向けて「知耕実学とは何か」「ここで学ぶ意義とは何か」を再定義しようと全学的に動いているところです。
わたしが考える本校の役割は、「学内で学んだことを、いかに社会実装につなげられるか」だと思っています。この150周年を機に、「大学キャンパスに隣接する唯一の農大併設校だからこそ実現できる学び」について、一つひとつブラッシュアップしていきたいのです。
広野中学入試の変更点を教えてください。
梅原これまで2月4日に行われていた第4回入試を廃止し、2月1日午前に行われる第1回入試の募集定員を、従来の約40名から約60名に増員します。本校を第一志望としている受験生を多く受け入れたいという考えからです。
広野最後に受験生に向けてメッセージをお願いします。
梅原この秋には、理科実験室や図書館を備えた新校舎「知耕実学棟」も完成します。本校の受験を検討している皆さんは、ぜひ一度、学校見学にいらしてください。説明会だけでは伝わらない本校の特色が見えてくるのではないかと思います。実学主義に裏付けられた本質的で堅実的な学びが自慢です。受験生の皆さんには、そこに期待を持って入学してもらえたらうれしく思います。