異なる考え方に触れることで
みずからの視野を広げていく
校長 宗像 諭先生
サレジアン国際学園中学校高等学校では、多様な価値観を受け入れながら、主体的に社会課題の解決に取り組める人材の育成をめざしています。校長の宗像諭先生は、「これからの時代には、さまざまな分野の知恵を組み合わせる“総合知”が求められるでしょう。AIやロボットにはない多角的な思考力を育むことが、学校教育の価値だと考えています」と話します。
同校では、入学者の約3分の1が帰国生です。教員も同様で、高い英語力と専門性を備えたインターナショナルティーチャー(IT)は27か国の出身者からなるなど、学校全体が国際色豊かな環境となっています。
中学では、「本科クラス」(本科)と「インターナショナルクラス」(インター)に分かれます。インターは、さらに英語力の高い「アドバンストグループ」(AG)と、入学時の英語力を問わず、英語学習への意欲を重視する「スタンダードグループ」(SG)に分かれ、いずれも週10時間の英語授業を行います。AGでは数学・理科・社会を、SGでは数学・社会を、外国人教員によるオールイングリッシュで学習します。
中2までは、本科・AG・SGの生徒が一緒に学ぶ「ハイブリッド学級」としています。「バックグラウンドも得意分野も異なる生徒同士が、多様な価値観を持って集まっているのがハイブリッド学級の良さです。互いを尊重し合い、学び合いながら自己肯定感を高めています」と宗像先生は話します。
こうした教育方針は、日々の授業にも表れています。同校では、すべての教科にPBL型授業を導入。授業では、まず初見の問題や課題について客観的に分析し、自分なりに考えます。そして、その考えを論理的な思考に基づいて言語化し、ほかの生徒の意見にも耳を傾けながら、よりよい答えを導き出していくのです。「多くの仕事がAIに代替されていくなかで、人間に求められるのは、『なぜ?』という問いについて常に考え、価値を創造し続けることです」と、宗像先生はこの授業の意義を説明します。
考える力を育てる新校舎
理数教育の設備もさらに充実
こうした「考え続ける学び」をさらに深めるため、2027年度には新校舎が完成する予定です。地上5階・地下1階建てで、延床面積は現校舎の約1.4倍となっています。
新校舎の大きな特徴は、教室と教室の間などに設けられた「余白」の空間です。各フロアには、教室1室分ほどの広さを持つ「学年ラウンジ」を配置し、共同作業用の机やソファ、自習スペースなどを設けます。PBL型授業での話し合いやプレゼンテーションの準備など、生徒が自然に集まり、対話できる場所となります。
また、各教室の近くには、関連書籍を置く分散型の図書スペースを設置。最大800人を収容できる体育館には大型スクリーンを備え、全校規模のプレゼンテーションにも対応します。校内各所には発表スペースも設け、生徒が日常的に意見交換や発信に挑戦できる環境となっています。
理数教育の設備も充実しており、最新の安全基準に準拠した「サイエンスラボ」「生物室」には、大学レベルの実験機材を備えています。放課後には、生徒が研究活動に活用することも可能です。
先進的な学びを可能にする新校舎。理数教育の設備、ICT設備も充実しています
教科横断型の学びで思考力を養う
理数教育プログラム「MEDICO」
2026年度からは、理数系分野をより専門的に学びたい生徒に向けた新プログラム「MEDICO(メディコ)」がスタートしました。AIやバイオテクノロジーなど、科学技術が急速に発展する時代に対応し、専門知識だけではなく実践力や探究心を育てることを目的としています。
MEDICOグループは本科クラス内に設置され、本科やインターとは別枠での募集となっています。中1では本科と同じカリキュラムで学び、中2からMEDICO独自の学びがスタート。数学と理科では取り出し授業を行い、単なる先取り学習ではなく、PBL型授業を軸に理解を深めます。
MEDICOの大きな特徴は、一つのテーマを複数の教科からとらえる教科横断型の学びです。たとえば中2では、「てんとう虫」をテーマにしたプロジェクトを予定しています。生物として観察するだけではなく、てんとう虫が身を守るために分泌する液体を分析したり、羽ばたきの仕組みを物理学の視点から考察したりします。さらに、実験で得られたデータを数学的に分析するなど、一つのテーマからさまざまな分野へと学びを広げていきます。大学や研究機関とも連携し、大学での実験体験など、学校外での学びも積極的に取り入れる予定です。
MEDICOで重視するのは、知識や技術だけではありません。研究者・探究者としての倫理観や論理的思考力、協働する姿勢も身につけながら、「学んだことを社会にどう生かすのか」を考えていきます。現在は、中2から高1までの3年間で、医療従事者や企業の研究者、データサイエンティストなど、理系分野の第一線で活躍する50人の専門家を招くキャリアプログラムを予定しているといいます。
「ひと口に医師といっても、大学病院の勤務医や地域を支える開業医など、その働き方や社会への貢献の仕方はさまざまです。50人の専門家との対話を通して、理数系の学びと社会との関連性を具体的にイメージしてほしいと考えています」
最後に宗像先生は、次のメッセージを送りました。
「国際的な環境で学びたいという生徒にはもちろん、数学や理科が好きな生徒にとっても、非常に恵まれた環境が整いました。これからも、第一線で活躍する人材の輩出をめざし、生徒たちの基礎学力を着実に積み上げていきます」
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修士号以上を持ち、自国での教育経験を持つ、高い専門性を持った教員が世界中から集まっています
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MEDICOでは、博士号を持つ教員から数学や理科を取り出し授業で学び、世界で活躍する医師や研究者をめざします