受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

高い志と探究心を育み
「サイエンス」の力で
グローバルに活躍する人に

横浜市立横浜サイエンスフロンティア高等学校附属中学校 校長 永瀬 哲 先生

研究活動中心の課題探究型授業
「サイエンススタディーズ」

先生写真
校長 永瀬 哲 先生

水岡 先ほど、サイエンスエリートを育成するというお話がありましたが、この「サイエンスエリート」にはどのような意味が込められているのでしょうか。

永瀬 「サイエンスエリート」とは、次代の担い手としての使命感を持ち、身につけた科学的リテラシーを活用して国際社会で活躍する人材のことです。その下地となる「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」、そして「主体的に学ぶ力」を6年間でバランス良く、じっくり育てたいと考えています。生徒たちはいろいろな可能性を持っていますから、それを伸ばしてあげることが最も重要です。いくらこちらが働き掛けても、本人に意欲がなければできません。その意欲を育てることが教育の中心になります。

神田 そのためのカリキュラムもサイエンスに特化した特色ある授業が多くなっていますね。中学校の総合的な学習の時間に行われている「サイエンススタディーズ」は、どんな内容ですか。

永瀬 高校では学校設定科目に「サイエンスリテラシー」という課題探究型の授業があります。研究の基礎から始め、実際に個々にテーマを決めて研究活動を行い、海外研修でプレゼンテーションもします。その「サイエンスリテラシー」にスムーズに移行できるよう、中学の段階で自然科学や社会科学を中心とした課題探究型の学習を進めるのが「サイエンススタディーズ」です。中学1年生ではスーパーアドバイザーの講演を聞いたり、科学技術顧問になっていただいている企業を訪問したり、サイエンスに触れる体験が中心になります。2年生では個人でテーマを設定して研究し、その経験をもとに3年生では4人程度のチームを組み、一つのテーマについて研究を進めていきます。これは研究の手法を学ぶという意味もありますが、チームでの活動を通してコミュニケーション力を鍛えるという目的もあります。

聞き手2
サピックス
小学部教務部
水岡 俊幸

水岡 生徒の自主性を育てるものとして、「フロンティアタイム」という時間もありますね。これはどういう内容ですか。

永瀬 「フロンティアタイム」は、自分たちで自由に使える、自分たちでデザインする時間です。とはいえ、好き勝手なことをするわけではありません。たとえば「サイエンススタディーズ」で自分が研究しているテーマを、「フロンティアタイム」の時間を使って進める生徒もいます。読書をしたり、進路について調べたり、先生に質問や相談をしたりする時間としても使えます。以前、この時間を使って、チーム研究の実証実験を行ったこともあります。災害時における群衆の避難法をテーマとした研究で、全学年から集まった50名以上の生徒が協力して、避難の方法について実証実験をしました。チーム間・学年間で協力したり、情報を共有したりして、課題研究は進められています。

21年4月号 さぴあインタビュー/全国版:
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