受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

自由な校風の下、
学び合い、高め合いながら
社会貢献できる人をめざす

青山学院中等部 部長 上野 亮 先生

「地の塩、世の光」である
サーバントリーダーに

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

神田 初めに青山学院の沿革と、先生が学院にかかわってこられた経緯についてお聞かせください。

上野 青山学院は、明治時代の初めにアメリカの宣教師が創設した学校を源流としています。中等部は1947(昭和22)年に男女共学の中学校として開設され、間もなく75周年を迎えます。わたしは福岡県の高校を卒業後、青山学院大学に進学。大学院在学中にお世話になった教授のお誘いで、高等部の社会科の講師として勤め始めました。その後、中等部の専任教員となり、今年の4月から中等部の部長を務めています。

神田 青山学院のスクールモットーは、聖書のマタイによる福音書に書かれている「地の塩、世の光」です。先生はこのことばを、生徒たちにどのように伝えていらっしゃいますか。

上野 塩はわずかであっても人が生きていくためには欠かせないものです。また、料理の味を引き立たせるのと同じように、隣人の良さを伸ばしたり引き立てたりすることも大切だということを表しています。わたしたちはこの塩の役割を知ったうえで、世の光の役割を果たすべきです。光はたとえ小さなものであっても、暗闇を照らし、わたしたちにぬくもりを与えてくれます。わたしたちは世の光として用いられるときも、謙虚さと周囲の人たちへの感謝を忘れることなく努めるべきです。このことを表したことばが青山ビジョンで掲げられている「サーバントリーダー」です。リーダーであると同時に、仕えることを忘れない、謙虚な姿勢で人々を支える「地の塩、世の光」である「サーバントリーダー」になってほしいと願っています。

 そして「自由」も大切です。キリスト教の国のなかでは民主主義が広がっていて、そこにはキリスト教が大事にしている「自由・平等・博愛」の精神が受け継がれています。その大切さも生徒たちに教えていくようにしています。

神田 自由は民主主義の土台ですよね。それをわたしたちはつい忘れがちになりますが、キリストの教えを知ることで、人類が苦労して手に入れた自由を守っていかなくてはならないということを思い起こすことができます。そのために大切になってくるのが礼拝の時間ですね。

上野 本校のキリスト教教育は、大きく二つあげられます。一つは礼拝です。礼拝は毎日、2時限目と3時限目の間の15分間、全校生徒が行います。短い時間ではありますが、心を静めて祈りのひとときを持ち、聖書のことばに触れ、内容を学び、聖書を通して社会のさまざまな問題について考える、礼拝を通して自分の内面と向き合い、同時に外の社会に対しても関心を持ってみずから考える、というような時間を、一日の中で持つことは、とても大切だと考えています。

 もう一つは週1時間の「聖書」の授業です。ここでは、キリスト教の基本的な内容を体系的に学びます。また、社会が抱える問題についても、みずからの考えを述べていきます。礼拝や聖書の授業で聞いたことのいくつかが生徒の心に残り、将来彼らの人生のどこかでプラスになることがあればと思っています。特に、現在のような国際化の時代においては、キリスト教やキリスト教的な考え方を知ることは、世界の人々がどういう考え方を持っているかを理解するうえで大切なことです。

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21年9月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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