受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

自由な校風の下、
学び合い、高め合いながら
社会貢献できる人をめざす

青山学院中等部 部長 上野 亮 先生

興味から学びを深める選択授業
「今」を見つめ直す宿泊行事

聞き手1
サピックス小学部
教務部
岡本 茂雄

神田 3年生の週2時間の選択授業は、まさに好きなものを見つけ、伸ばしていくきっかけになるものですね。「ソーシャルイノベーション入門」「韓国のことばと文化」「暗号入門」など、教科の枠にとらわれないさまざまな講座がありますね。

上野 選択授業は、先生方がそれぞれ大学のゼミのような形で行うもので、そのテーマに興味を持った生徒が集まって、少人数で進めていきます。20以上ある講座のなかにはユニークなものも多く、ふだんの授業以上に教員の個性が発揮されます。卒業生や外部の講師の方を招いたり、外に出掛けたりすることもあります。

岡本 今年の中1生からは、全員に1人1台ずつ、タブレット端末が配布されたそうですね。

上野 初等部と高等部では以前から配布を始めていましたが、中等部でも今年から導入しました。本校では青山学院大学のインターネット授業支援システム「コースパワー」を使うことができます。これによって昨年の休校期間中も、学習を止めることなく授業を配信することができました。オンデマンドなら、見られるときに見て、後で質問することもできます。ふだんは質問をしないような生徒が熱心に質問してくるケースもあって、いつもと違う面が見られたのはよかったと思います。

岡本 大きな宿泊行事を実施するのは難しい状況かと思います。例年なら2年生では裏磐梯キャンプ、3年生では沖縄旅行がありますね。

上野 裏磐梯キャンプは伝統ある行事の一つで、都会における生活を見直し、自然に親しみながら、簡素で合理的な生活を送ることを目的としています。3年生の沖縄旅行では、沖縄の自然や伝統・文化に親しむとともに、悲惨な戦争があったという歴史認識を深め、平和について考えます。

神田 戦時中の沖縄では、国民学校高等科に通う子どもたちも動員され、その多くが命を落としています。そんな現実をきちんと今の子どもたちに伝えていかなければならないと思います。

上野 沖縄では平和祈念資料館に行くほか、「ガマ」といわれる洞窟に行って沖縄戦の爪痕も見てきます。戦争は過去のものではありません。アメリカがかかわる戦争が起これば、沖縄の基地から戦地に飛び立っていくわけですからある意味、沖縄では今でも戦争が終わっていません。

神田 特に、基地のそばに住んでいる方にとっては、今も続いているという思いが強いと思います。そうした思いは文章や画像では伝わりにくいものですが、現地を訪れて、現地の人たちのお話を聞くことで、自分のなかに現実のものとして入ってきますね。

21年9月号 さぴあインタビュー/全国版:
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