受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

将来を見据えた10年一貫教育で
社会の担い手となるための
強固な土台を形成する

法政大学第二中・高等学校 校長 五十嵐 聡 先生

中学から大学まで学ぶ場として
10年間の目標を持ってほしい

西川 高校卒業後は、法政大学に内部推薦で進学する生徒が多いと思います。推薦の条件はどのようになっていますか。

五十嵐 有資格者全入制度といって、資格が取れれば法政大学のいずれかの学部・学科に推薦される制度があります。その資格を取るには、三つの条件があります。日常の成績が全教科で6割以上であること、「基礎的思考力確認テスト」という大学が付属校3校に共通で課している試験で一定の成績を取ること、そしてTOEIC Bridgeなどの英語の外部試験で一定の成績を収めることです。2020年度卒業生は98%が有資格者となり、92%が法政大学に進学しました。

神田 高3の3学期の授業は、進学予定の学部に直結した内容に切り替わるそうですね。付属校ならではの恵まれた教育プログラムだと思います。

五十嵐 12月には進路が決まるので、3学期はその進路ごとに分かれて、それぞれの分野の内容に照らし合わせて探究学習を行います。中3の総合学習の発展版のようなものですね。その成果をプレゼンテーションや論文によって発表します。テーマはさまざまで、ある生徒は、武蔵小杉駅から本校まで来る途中にある「法政通り商店街」の混雑緩和をテーマにしていました。いつも混雑しているので、それをどうやったら改善できるかを考えたわけですね。なかなかおもしろい内容でした。

神田 身近な問題、自分が気づいた問題に取り組んでいく。まさに飾り物ではない、身につけた教養の実践ですね。

西川 高校卒業後の進路を拝見しますと、法学部、経済学部など文系学部への進学者が多いようですが、理工学部、あるいは人間環境学部、スポーツ健康学部といった新しい学部にも幅広く進んでいますね。

五十嵐 今の高3生は2016年に中学に入学した世代、つまり中学が共学化されたときに入学した「第1世代」です。その高3生の希望進路を見てみると、理系が増えています。例年なら理系は2クラスですが、今は文系が11クラス、理系が4クラスになっています。高校から入学する生徒も多いわけですが、理系を希望する生徒の約40%は中学からの入学者です。男女別で見ても、理系に進学する女子の約44%は中学から入学しています。このことから、特に女子の理系志望は、中高6年間のなかで増えていったのだと思います。理科の教員としてはうれしいことです。

神田 中学入試についてですが、将来的に入試回数や日程、あるいは募集人数の男女比など、変更する予定はありますか。

五十嵐 回数や日程の変更は今のところ考えていません。男女比については、例年女子の点数が高いので考えなくてはならないという話はしていますが、具体的な検討にはまだ入っていません。

西川 男子校時代からご存知の五十嵐先生から見て、共学化したことで学校の雰囲気はどうでしょうか。変わったところはありますか。

五十嵐 中学のうちは特に、男子が女子に引っ張られるという面はあるとは思います。女子のほうが比較的真面目に取り組みますから、男子に良い刺激を与えているのではないでしょうか。

集合写真

神田 良い相乗効果があるということですね。最後になりましたが、受験生と保護者の方に、激励のメッセージをお願いします。

五十嵐 本校は大学付属校ですから、中高大10年間の目標を持って取り組んでほしいと思います。教育目標も各教科の目標も、そして学校の施設も、10年を見通してつくられているので、法政大学まで進んで社会に出ていく人たちに入学してほしいと思っています。もちろんそうでなくても、付属校として自由に伸び伸びと取り組めるという校風は大切にしていますので、そうした教育方針に共感できる方はぜひ来てください。

神田 新型コロナの影響で、限られた人数での学校説明会となってしまい、その予約もすぐに埋まってしまうと聞きました。いかに人気が高い、魅力ある学校かということがわかります。多くの受験生にチャレンジしていただきたいですね。本日はありがとうございました。

22年1月 さぴあインタビュー/全国版:
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