受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

より深く、より広く学び、
みずから考え活動する毎日が
未来を開く力を育てる

吉祥女子中学・高等学校 校長 赤沼 一弘 先生

中学の学習では基礎を徹底
特に英語・数学は補習も充実

聞き手2
サピックス小学部
教務部
中野 英樹

中野 カリキュラムを拝見すると、中3から高校の内容に入るとのことですが、これは先取りではなく、「学びを深化させたいため」と書かれていますね。

赤沼 中学の授業は、どの教科も一般的な中学校のカリキュラムより速い進度で組み立てられています。これは、生徒の「もっと深く学びたい」という願いに応えるためです。中1・2では、英語・数学・国語に重きを置いています。理科・社会は中1・2で慌てていろいろなことをやるのではなく、理科なら実験を多くするなど、実体験から学ぶことを意識しています。社会科では中3から現代社会の内容も学びますが、ディスカッションをしたり、新聞を作ったりする取り組みも行っています。どの教科もそうですが、覚えればいいという授業にはしていません。まず基礎をしっかりと固めたうえで、幅広くいろいろなことに取り組んでいくようにしています。

中野 中学では補習も充実していますね。

赤沼 学習に遅れがちな生徒でも、テストではそこそこ点数を取れる場合があります。それでも進級はできるわけですが、高校に入ってから苦労するのは目に見えています。そこで、最も差がつきやすい英語と数学に関しては、定期考査ごとに心配な生徒たちに声を掛けて、放課後に30〜40名ほどで補習を行っています。

 高校では自分の責任で取り組んでほしいので補習はありませんが、生徒たちはわからなかったらどんどん教員のところに聞きに来ます。職員室や進路指導室の前に丸テーブルをいくつも並べ、そこで生徒が気軽に質問できるようにしていますが、試験前の放課後などはいっぱいです。

キャプションあり
上/図書館教育にも力を入れています。蔵書は8万2000冊あり、あらゆる分野の資料をそろえて探究的な学習や調査・研究にも対応しています
下/8号館2階の体育館。校内にはグリーンコート、トレーニングルーム、プールなどがあり、秋の運動会は八王子キャンパスの広大なグラウンドで行われます

神田 早い時期から国際交流に力を入れていますね。中3のカナダ語学体験ツアーは、30年以上も前から実施されているそうですね。

赤沼 カナダ語学体験ツアーは、ホームステイを中心とした8泊9日の語学研修で、参加すると少し大人になって帰ってくる生徒が多いですね。ホストファミリーなどと話して通じないと、自分を理解してもらうにはどうすればいいのか考えるようになります。「きちんと発信しなくてはならない」「相手の話をきちんと聞かなくてはならない」といったことを学んで帰ってきます。新型コロナの影響でこの2年間は中止になりましたが、高1を対象に再開できるように準備を進めています。

神田 カナダは「人種のパッチワーク」と言われ、さまざまな国の人たちが寄り添いながら、違いを認め合って暮らしています。ホームステイをするにしても、その家庭ごとに生活習慣が異なるので、生徒同士で情報交換ができますね。高校のオーストラリアセミナーとアジア研修ツアーは希望者が対象ですね。

赤沼 はい。アジア研修ツアーは、同じアジア人として異なる文化を体験する機会を持とうということで企画しました。春にマレーシアやベトナムを約1週間訪れるものですが、軌道に乗り始めたところで新型コロナが流行してしまったので、いくつかの国を候補に挙げて、あらためて実施できないかと考えているところです。

22年2月号 さぴあインタビュー/全国版:
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