受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

より深く、より広く学び、
みずから考え活動する毎日が
未来を開く力を育てる

吉祥女子中学・高等学校 校長 赤沼 一弘 先生

行事後に達成感が得られるのは
自分たちで考えやり遂げるから

中野 運動会や文化祭などの行事は、生徒が企画・運営するのが伝統ですね。

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赤沼 もちろん教員もサポートはしますが、基本的には生徒たちがすべてやり遂げます。コロナ禍でも、運動会は中止したくないという思いがあり、2020年は生徒たちで「リモート運動会」という方法を考えました。グラウンドに競技をする生徒だけが集まって、その様子を撮影・編集して昼休みに流しました。それを一か月半にわたって続けたのです。その出来栄えはすばらしかったですね。よく考えたと思います。

 でも、2021年は「みんなで一緒にやりたい」というのが生徒たちの思いでした。運動会は毎年、八王子キャンパスのグラウンドで行い、高3生が学年全体で発表するダンスが名物になっています。それをみんなで表現したいという気持ちがありました。そこで10月に高3、11月に高1・2と中学に分けて行いました。

 高3の実施日は交通機関に遅れが出て、最後に全員で行うダンスの時間に間に合わない生徒がいました。生徒たちの判断で、何とかみんなで場をつなぎながら時間を稼ぎ、その生徒が来るのを待つことになったのですが、誰ひとり文句を言いませんでした。結局、1時間ほど待ったでしょうか、全員でダンスをすることができました。高3だけにしたので保護者の方にも見に来ていただけて、よかったと思います。

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神田 待ってもらった生徒にとっては、一生の思い出ですね。「仲間なんだ」という意識は一生の財産になると思います。

赤沼 文化祭もそうですが、終わったときに達成感があるのは、自分たちで考えてやりきったからです。学校行事には、一つひとつしっかり取り組んでほしいと思っています。人にやらされていると思っていると、何も残りません。

 先ほどの理化学研究所の見学もそうです。「先生が言うからとりあえず来たけど、よくわからない」と思うのか、「せっかくのチャンスだから、よくわからないけどいろいろ見てみよう」と思うのかで、得るものはまったく違います。自発的にいろいろな取り組みをして、自分で判断して進んでいくという経験を、中高6年間でたくさんしてほしいと思います。

22年2月号 さぴあインタビュー/全国版:
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