受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

本質を考える学びの日々が
不確実な未来に向かって
力強く生きる女性を育てる

大妻中学高等学校 校長 梶取 弘昌 先生

多様な価値観のなかで生きる
「大妻ビジョン50」

先生写真
校長 梶取 弘昌 先生

神田 教育方針の土台として、「大妻ビジョン50」が設定されています。この「50」には、今後50年にわたって勤労を通して社会貢献してほしいという意味と、人口減少や少子高齢化などさまざまな問題の噴出が予想される「2050年問題」への備え、そしてコタカ先生の没後50年、という意味が含まれているそうですね。

梶取 その三つの意味がありますが、もう一つ、「多様な価値観が認められる社会で生きてほしい」という意味も込められています。男女の役割にしても、いろいろですから、一つには決められません。社会で活躍するのもいいし、家庭を守るのも間違ってはいません。男性が家庭にいるのも間違ってはいません。いろいろな価値観を認めていくような社会が、わたしのなかではこの「大妻ビジョン50」に含まれています。

神田 まさしくダイバーシティ(多様性)をきちんと自分のものにできるかどうかですね。まったく違う価値観を持つ人やグループがあっても拒否するのではなく、理解してどう歩み寄れるかを考えられる人を育てるよう、教育を進めていく必要があると思います。

キャプションあり
上/校舎の地下1階にあるカフェテリアでは、日替わりのお弁当を販売しています
下/図書室の蔵書数は約4万3000冊。「新着図書」「大妻の100冊」「図書委員の推薦本」などの特設コーナーを設けて、さまざまな本を紹介しています

梶取 外国に対しても同じです。わたしたちはひと通り世界史を学びますから、表面的なことは知っています。しかし、その先にある一つひとつの国の歴史までは、ほとんど知りません。それぞれの国にはそれぞれの歴史があり、伝えられてきた文化があり、さまざまな考えの人たちがいます。そこを認め合いながら、そういう人たちとどう接するかを考えなくてはなりません。「グローバル」にはプラスとマイナスの両面があります。新型コロナの感染拡大はマイナス面です。これだけ世界がつながっていれば、ウイルス感染は広がります。ロシアのウクライナ侵攻にしても、それによっていろいろな資源の流通が止まると、日本はすぐに音を上げてしまうわけですね。世界がどうなっているかを理解しながら、これからのことを考えなくてはなりません。何かが起こると、とかく「誰が悪い」といった論調になりがちですが、それだけで済む問題ではないのです。

神田 おっしゃるとおりです。今はプロパガンダが世界を動かしているような気さえすることがありますが、それに引きずられないような“個”をきちんとつくっていかなくてはなりません。

梶取 生徒たちにも「疑う気持ち」を持ってほしいと思います。教員から聞いた知識や話の「受け売り」ではいけないのです。授業でも黒板を丸写しにするだけでは困ります。インプットは絶対に必要ですから、ノートに書き写すのは悪いことではありませんが、そこから先の「自分の思考」につないでほしいと思います。

22年10月号 さぴあインタビュー/全国版:
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