受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

自主自立の精神の下、
多様な進路希望に対応した
質の高い独自の教育を展開

早稲田中学校・高等学校 校長 川口 浩 先生

着々と進む新校舎の建設
コンセプトは「つながる」

聞き手1
SAPIX YOZEMI GROUP
共同代表
髙宮 敏郎

髙宮 2020年に創立125周年を迎え、現在はその記念事業として新校舎の建設が進んでいますね。完成はいつごろになりますか。

川口 3号館と興風館という二つの校舎を建て替え中で、来年の4月から使用する予定です。3号館には主に理科の教室が、興風館には体育施設が入ります。今回は二つの校舎を建て替えるだけではなく、「つながる」をコンセプトにして、各建物が内部で連結するようにします。また、中間部には、食堂と図書館のほか、生徒の集いの場となるスペースも設置するなど、中学生と高校生の交流が盛んになるような造りになっています。建て替えで使うレンガは早稲田大学の大隈講堂のレンガと同じデザインのものですから、外観的にも早稲田の街並みにつながります。

広野 3号館の完成図を拝見すると、物理・化学・生物・地学の実験室が均等に入っています。すべての分野をしっかり身につけさせようという姿勢に、伝統校らしさを感じます。

川口 理科教育の環境を充実させるため、実験室は全部で6室入る予定です。そのほか、広い自習室も設けます。これができると、高校生になって放課後に受験勉強をしたいときも、塾や予備校の自習室に行かなくて済みます。一方の興風館は、5階がアリーナで、4階が柔道場と剣道場になります。3階は約1000人を収容できる「誠ホール」ですが、座席をたたむとアリーナと同じ空間ができるので、ふだんは第2体育館として活用していこうと考えています。

髙宮 ホールの名称に「誠」とあるのは、教育目標の一つである「誠」によるものですね。

川口 本校は1895(明治28)年、大隈重信の教育理念に基づき、坪内逍遥、金子馬治、市島謙吉の3人が中心になって設立されました。早稲田大学の建学の精神が「学問の独立」であるのに対し、本校は「人格の独立」をうたっています。特に、言行一致という意味での「誠」を教育目標の中心として掲げ、生徒の「個性」を伸ばしつつ、世界に貢献する「有為の人材」を育成することを理想としています。坪内逍遙は校歌も作っていて、歌詞にも「誠」が出てきます。人としての一番の基本は「誠」であり、生徒にもそういう倫理観を持ってほしいと思っていたのでしょう。

メインビジュアル
新校舎イメージ図

22年11月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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