受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

自主自立の精神の下、
多様な進路希望に対応した
質の高い独自の教育を展開

早稲田中学校・高等学校 校長 川口 浩 先生

仲間と取り組む部活動と行事は
成長に不可欠な機会として重視

キャプションあり
上/350人が収容できる創立90周年記念大教室。学年の集会のほか、文化祭の公演などで利用されます
下/正門付近に設置された、早稲田大学の創設者・大隈重信の像と、教育目標の「誠」を刻んだ石碑

髙宮 部活動のお話がありましたが、加入率がとても高いですね。部員数もサッカー部が多いのは当然として、バドミントン部や物理研究部でも100人を超えています。新型コロナの影響で、特に今の中3生は、入学してから2年半、部活動が存分にできなくてかわいそうでした。部活動や行事には、先輩から後輩へと伝えなくてはならない伝統がたくさんあるので、間が空いてしまうと引き継ぎができません。やはり学校は勉強だけでなく、集まって部活動や行事に取り組むのも、大事な要素だと思います。

川口 おっしゃるとおりです。スポーツでいえば、「するスポーツ」ばかりではありません。「見るスポーツ」「支えるスポーツ」もあります。クラスメートのプレーを見て応援することも、教育的には非常に大事なことです。そうしたことがコロナ禍では制限されました。病気にかかわる非常事態なのでしかたがないとは思いますが、多くの教育の機会が失われたように、わたし自身は感じています。

 本校では、文化祭などの学校行事もそうですが、クラブの夏合宿のスケジュールなどもすべて生徒たちが作り上げています。先輩から引き継いだ形でやりますから、何とか途絶えないよう、この夏は宿泊数を制限して実施しました。今年度は、中1の林間学校も、中2以上の希望者対象のサマーキャンプも行うことができましたし、京都・奈良を訪れる高2の関西研修も実施することができました。

 学校で設定している行事以外に、学年ごとに企画するものもあり、行事はかなり充実していると思います。活動における自主性・創造性の発達は、学業にも有効にはたらきます。何もかも制限して、さまざまな経験の機会を奪ってしまうのは、成長するうえで良くないことです。勉強だけではなく、仲間と一緒に何かに取り組む、あるいは先輩・後輩の関係を築く、ということも、生徒たちが成長するうえでとても大事なことです。

髙宮 中1の鎌倉研修の写真を拝見したら、学ラン姿の男の子たちが楽しそうにしていて、懐かしい原風景のような気がしました。わたしも中高時代は学ランでしたので(笑)。

川口 子どもたちが無邪気に取り組んでいる感じがいいですね(笑)。

髙宮 50年以上続く「利根川歩行」のような、長い距離を歩く行事も男子校ならではですね。

川口 利根川の上流から犬吠埼灯台まで、105km以上に及ぶ距離を6年かけて歩きます。「今年はここまで」と、6年かけて下流まで歩きますから、最後に太平洋の雄大な景色を目の当たりにして、毎年やってきたことの達成感を味わうことができます。ただ歩くだけなので大したことはしませんが、子どもたちが話をしながら歩くのがいいのです。そのときは、授業で「静かにしろ」「おしゃべりするな」と言われている環境とは違う、自由な時間です。ふだんとは違う空気のなかで、あらためて友だちの良いところを見つけたり、同じことに興味を持っていると気づいたり、さまざまな価値観があることを知ったり。そんな意味のある時間が持てると思います。

22年11月号 さぴあインタビュー/全国版:
目次|4|

ページトップ このページTopへ