さぴあインタビュー/全国版
自主自立の精神の下、
多様な進路希望に対応した
質の高い独自の教育を展開
早稲田中学校・高等学校 校長 川口 浩 先生
早大の推薦基準を満たすには
受験準備と同等の勉強が必要
広野 受験生や保護者にとって気になるのは、早稲田大学への推薦についてだと思います。いつまでに決断しなくてはならないのか、また推薦を得るにはどんなことが必要なのか、概要を教えていただけますか。
川口 今年の例では、推薦の申請は11月18日になっています。推薦の判断材料はいくつかありますが、学習面では高校3年間の成績と、高3の6月と11月に実施される総合学力試験が重要です。高3の2学期までの成績が推薦の判定に関係しますから、推薦希望も手を抜いていると、行きたい学部に進めなくなります。総合学力試験の試験問題は教員が作成しますが、ほぼ大学入試レベルです。入試問題を解けるぐらいの力がないと推薦も難しいということになります。一般受験を突破する力がなくて推薦を選ぶのだと思う人もいるかもしれませんが、学年でトップの生徒が、推薦で早稲田大学の政治経済学部に行くこともあります。どちらも気を抜かず、最後までがんばるということです。
よく「推薦組と受験組が同じクラスでやっていけるのか」という質問を受けます。「モチベーションがまったく違うのに大丈夫か」という心配もあるかと思いますが、推薦を希望する生徒もがんばらなくてはなりませんから、同じ学習環境でもまったく問題はありません。
広野 2022年春の進学実績を拝見すると、卒業生306名のうち推薦制度を利用して早稲田大学に進んだのが159名、残りは慶應義塾大学への指定校推薦が3名、一般受験に臨んだのが144名でした。そして、そのうち24名が東京大学に、19名が国公立大学の医学部医学科に合格しています。学部でいうと、やはり医学部は増加傾向にありますね。
川口 文理別の数でいうと、1学年7クラスのうち通常は理系が4クラス、文系が3クラスになります。推薦はどちらかというと文系のほうが多く、理系は国公立大学をめざす生徒が多いですね。なかでも医学部志向は強いです。
推薦と一般受験のどちらを選ぶにしても、進路は成績だけで決めないでほしいということは伝えたいですね。自分が本当にしたいことは何か、よく考えて選んでほしいと思います。わたしが大学で教えていても、成績はいいのかもしれませんが、「君は本当にこれをやりたいの?」と首をかしげたくなる学生が少なからずいます。どの大学に行くにしても、大学は社会に出ていく前の最後のラインですから、そこできちんと過ごすことは大事です。自分の志向と選んだ学問が合っていないと、不幸な4年間になってしまいます。
髙宮 中学入試について伺います。2024年度から帰国生入試を廃止されるとのことですが、どのような理由からですか。
川口 かつて帰国生枠ができたころは、海外で長期間生活をしたような子が珍しい時代でした。しかし今は違います。外国に住んでいても、日本人向けの塾に通っている子も少なくありません。わざわざ帰国生として、一般生と違う形式で入試を行う必要性があまりなくなったからです。帰国生の方も一般の枠で受けて入っていただければと思います。やはり海外経験のある子どもたちと一緒に学ぶと、大きな刺激になります。
広野 一般入試は第1回と第2回とがありますが、どちらで入ったかで、入学した後に何か違いは感じられますか。
川口 それはありません。2回目のほうが難しい印象があるかもしれませんが、入ってからがスタートです。算数と数学は違いますし、英語も本格的に学ぶのは中学からです。どれだけ良いスタートを切れるかが大事なのです。今までトップだったからとあぐらをかいていると、すとんと落ちてしまいます。入学後、わたしたちの指導を素直に受け止めてきちんとやっていってくれるか、そこだと思います。
いずれにしても本校の特性をよくご理解いただいたうえで、受験するかしないかをご判断いただきたいと思います。そこが抜けてしまっていちばん困るのは、子どもたちですから。
髙宮 早稲田大学に進学する道があるからといって、気を緩めることなく、将来を見据えてしっかり力をつけていく。そうした教育方針を理解したうえで、チャレンジしてほしいということですね。ありがとうございました。
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