さぴあインタビュー/全国版
「自主自律」の精神の下、
心動かす体験学習を通して
未来を強く生きる力を育てる
鎌倉学園中学校・高等学校 校長 松下 伸広 先生
建長寺開山の教えを今に受け継ぐ
「自主自律」の教育理念
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹
神田 初めに、鎌倉学園の沿革についてご紹介いただきたいと思います。
松下 本校は、鎌倉時代に中国から来日した僧、蘭渓道隆が開山した建長寺に隣接しています。建長寺は1885(明治18)年に、「宗学林」という宗派の子弟のための教育施設を創設しました。それが本校の前身です。宗学林は、1921(大正11)年に広く一般に門戸を開いて旧制中学校となりました。その年が本校の創設年とされ、2021年に100周年を迎えました。
神田 教育理念として最も大事にされている「自主自律」は、蘭渓道隆の教えに基づくものですね。
松下 鎌倉五山の第一位である建長寺には禅林として全国から修行僧が集まり、最盛期には1000人ほどを指導したそうです。彼らを育てるに当たって大事にしたのが「自主自律」の精神です。蘭渓道隆和尚のことばに「鞭影を見て後に行くは即ち良馬に非ず、訓辞を待ちて志を発するは実に好僧に非ず」というものがあります。ムチを見てから走り出すような馬は良い馬ではない、師匠に言われてから動くようでは好僧ではない、という意味です。状況を見て自分で考え行動できなくてはだめだということですね。この「自主自律」がそのまま引き継がれて、本校の教育理念となっています。
この「自主自律」に「質実剛健」「文武両道」を加えた三つが本校の教育の柱です。「質実剛健」は、きちんと筋の通った人になってほしいということ。「文武両道」の「文」は勉強、「武」はクラブ活動というよりも勉強以外のいろいろなものを指します。勉強だけ、スポーツだけではなく、二つを追い求めて活動し、そのなかで生涯の友をつくってほしいと思っています。
神田 「自主自律」は「禅」という宗教的な教えが土台にはなっていると思いますが、それが教育理念として脈々と受け継がれているのは、時代がどんなに変わっても通用する普遍的な価値観があるからでしょう。
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