受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

「自主自律」の精神の下、
心動かす体験学習を通して
未来を強く生きる力を育てる

鎌倉学園中学校・高等学校 校長 松下 伸広 先生

海外の中学生との交流から発展し
募金活動で学校建設資金の寄付も

キャプションあり
上下/建長寺を一望できる書道教室。いちばん眺めの良い教室で、特に秋に見られる山の景色は格別です

神田 先ほどベトナム研修旅行のお話がありましたが、これは希望者対象ですか。

松下 休みを利用して、中3から高2までの希望者が参加します。現地のNGOに協力していただき、小学校での支援活動と子どもたちとの交流が中心となります。小学校に行って塀にペンキを塗ったり、植樹や清掃をしたりします。以前、わたしが参加したときは、運動会を開きました。現地の子どもたちは運動会をしたことがなかったので、大喜びでした。お父さん、お母さんたちも集まってきて、とても楽しい良い交流ができました。

中野 何名くらいが参加するのですか。

松下 約30名です。もっと参加者を多くしたいのですが、少数民族の住む地域に行くので、大きなバスでは動けませんから、マイクロバスを利用するとなると30名が限界です。最初は小学校を訪問するだけでしたが、今は中学校とも交流しています。オンラインで現地の子どもたちと話ができるので、事前学習で交流を深めてから訪れています。以前、雨期に学校が水没するので、そうならない校舎がほしいという話を聞いて、校舎の建設資金を寄付したこともあります。生徒たちが自発的に考えたことで、学園祭などで募金活動をして、1棟を建てられるだけの資金を寄付しました。

神田 すばらしいですね。単なる交流ではなく、日本とベトナムとの国としてのつながりが深まっていきますよね。

松下 一つのことをきっかけにいろいろな機会が生まれ、多くの方と触れ合うことができるようになります。今はハノイ大学ともお付き合いをさせていただいています。東京外国語大学に留学しているベトナムの学生に来ていただいて、事前学習でお話をしてもらう活動もしています。

神田 海外研修としては、ほかにも北米研修とオーストラリア研修がありますね。

松下 北米研修は、以前はボストンのハーバード大学やマサチューセッツ工科大学を訪れ、施設見学や学生との交流を行っていました。アメリカの学生たちは、「何のために学んでいるのか、将来は何をしたいか」という目的意識がとても高いので、生徒にとって良い刺激になります。今年は教員が博物館や美術館を見学させたいということで、ボストンではなくニューヨークに行く予定です。

 オーストラリアでは語学研修を行っていましたが、こちらも今年からイギリスに変更する予定です。ロンドンかブライトンでホームステイをしながら、語学研修をするのがメインです。イギリスにもさまざまな人種の方が集まっていますから、多様な背景を持つ人との交流ができるようにしたいと考えています。

23年6月号 さぴあインタビュー/全国版:
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