受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

「自主自律」の精神の下、
心動かす体験学習を通して
未来を強く生きる力を育てる

鎌倉学園中学校・高等学校 校長 松下 伸広 先生

英数国に特化した「鎌学セミナー」
理科がおもしろくなる「K-Labo」

聞き手1
サピックス小学部
教務本部
中野 英樹

神田 教育の流れを拝見すると、中学ではまず基礎学力の習得・定着に力を入れるのですね。

松下 文武両道ではありますが、中学では基礎学力をしっかりつけること、学習習慣を確立することが大事です。特に英語・数学・国語に重点を置いて、徹底して基礎の習得を図っています。

中野 土曜日の「鎌学セミナー」では、英語・数学・国語の特別授業が行われるのですか。

松下 本校は週6日制ですが、公立の学校は土曜日が休みなので、クラブ活動に力を入れている生徒は土曜日に大会に出ることが多くなります。土曜日に通常授業をすると大会に出た生徒は遅れてしまいますから、土曜日はふだんの授業とは違う多角的な視点に立った内容を取り上げるようにしています。昨年からは1週間の授業の復習のような内容も取り入れ、学習の定着により力を注ぐようにしました。

神田 探究的な学びにも力を入れ、理科では楽しさを感じられるよう実験を多く取り入れているとのことですね。

松下 理科では必ず週1回は実験や観察を行います。教科書だけで知識を得るのではなく、生きた教材で学ぶと理科は本当におもしろくなります。本校の敷地内ではさまざまな植物の観察ができるほか、他校からも見学に来るくらいの見事な地層もあり、学ぶ材料に事欠きません。校外でフィールドワークを行うことも多く、たとえば生物では、信州大学と提携して行う森林学習があります。長野県の山に行って、大学の先生方に植生の違いなどを教えていただきます。サルを追い掛けるようなこともします。長野県には温泉に入るサルがいますよね。サルを専門に研究している先生がおもしろい話をしてくださって、追い掛け方も教わります。サルについて研究することで、人間の何たるかがわかる部分があるのですね。

神田 楽しそうですね。おもしろいと思えることが学習意欲につながりますね。

松下 その生物の森林学習は、「K-Labo」という理科教育に特化したレッスンの一つとして行っています。「K-Labo」の狙いは、理科の学びを机上の理論では終わらせず、実験・観察を通して実際に体験することで理解を深めることです。生物はフィールドワークが多く、物理と化学は実験・実習が中心です。東京大学の臨海実験所で実習を行うこともあります。

 また「K-Laboフォーラム」といって、東京大学や大阪大学の先生や研究者に講演していただくこともあります。昨年は東大薬学部の教授をお呼びして講義をしていただきました。本校の卒業生が講義をすることもあります。たとえば生物なら、「植物が光に反応してどのように動くか」といったおもしろい話をしてくださるので、生徒たちも興味を持って聞いています。学んでいると驚くことがたくさんあります。

23年6月号 さぴあインタビュー/全国版:
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