受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

授業は男女が別クラスで受け
行事や部活は合同の「男女併学」で
主体的に人生を切り開く人材を育む

帝塚山中学校・高等学校 校長 小林 健 先生

一人ひとりをきめ細かく育てる
「男女併学」と「コース制」

聞き手1
サピックス小学部
千里中央校校舎責任者
松本 裕隆

立見 貴校では、全国でもあまり例を見ない「男女併学」というスタイルを採っていらっしゃいます。

小林 授業は男女別のクラスで行い、課外活動やクラブ活動、学校行事などは合同で行うというのが、本校が採用している男女併学という制度です。そもそも男子校からスタートした学校ですが、共学化した後は、女子校である帝塚山学院中学高等学校のイメージが強いためか、女子の応募が多く、入学者の男女比は1対2です。そのため、当初は、苦肉の策として併学というスタイルにしたと聞いていますが、特に中学段階では精神面での発達の性差が大きいので、男女それぞれに合った教育ができる点で、授業を別学でやるのはとても良いことだと思っています。たとえば、この年ごろは、男子はこのような特性、女子はこのような特性があるから、それぞれこういう部分をていねいに見ていこうというような配慮ができるわけです。

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4号館の最上階にある天文台。夜空を観察する希望者対象の宿泊行事も実施
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ロボカップ世界大会で優勝経験のある理科部ロボット班

 そうやって、高校生になると男女の成長がそろってくるので、一部の授業は合同で行います。特に理系科目では、中学段階では女子が男子の成績を上回っていても、高校で男子がぐんと伸びて、女子を追い抜くことがよくあります。国語についても、わたしが中学のクラス担任をしていたころは、わたしが担当する男子の平均点が、新人教員が教える女子の平均点より5~10点負けることがありました。悔しいのでいろいろ工夫して教えるのですが、それでも女子の平均点に届きません。それが、高校で一緒に学び始めてからしばらくすると、男子の精神年齢が女子に追いついてきます。このような段階になれば、男女一緒に学んだほうがいいという考え方で、今のような形にしました。

立見 共学と別学の両方の良さを併せ持っているのですね。ところで、昨今はジェンダーフリーの観点から、女子の制服にスラックスを導入する動きも見られます。貴校の場合はいかがでしょうか。

小林 本校でもスラックス導入を求める声が上がっています。新型コロナ感染防止のため、冬でも換気をしていたのですが、女子生徒たちからは、寒いのになぜスカートなのかといった声が上がっていました。これからは制服も含め、いろいろと考えていかなければならないと感じています。

松本 一方、貴校ではコース制を採用されていて、男子の「英数コース」は「スーパー理系選抜クラス」と「英数クラス」に分かれ、女子の「英数コース」は「スーパー選抜クラス」と「英数クラス」に分かれています。さらに女子には「特進コース」も設けられていますね。

小林 男女とも「英数コース」は難関国公立大学や国公立大学医学部医学科をめざすコースですが、関関同立など難関私立大学に行きたいと思っている生徒も、もちろんいます。それを無理に国公立大学へという進路指導は本校では行いません。一方、女子の「特進コース」は、国公立大学だけでなく、高2以降は私立大学に絞った教科選択もできます。コース変更については、高校進学以降は年度単位で可能です。

23年6月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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