受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

授業は男女が別クラスで受け
行事や部活は合同の「男女併学」で
主体的に人生を切り開く人材を育む

帝塚山中学校・高等学校 校長 小林 健 先生

今年から海外研修が再開
学校行事なども制限なく実施予定


明るく広々とした中1生のホームルーム。黒板は前後両方にあります

立見 さて、この3年間はコロナ禍のために学校行事も思うようにできなかったと思います。今年度からは、少しずつ以前のように戻るのでしょうか。

小林 そうですね。昨年までは修学旅行も、万が一のときは保護者の方に迎えに来てもらわなければならないということで、行き先を変えたり、全体の安全を考えて日程を短縮したりしましたが、今年度からはできるだけ制限をなくす予定です。今年3月には、ハワイサイエンスキャンプ(中3男子)と、サンディエゴSTEAMプログラム(中3女子)という海外研修も再開しました。

 行事については、コロナ禍でも、何もできなかったわけではありません。本校では密を避けるため、それまでの伝統だった中高一緒に行う学園祭と体育祭を、中高別々の日程で開催しました。やってみて気づいたのは、中高それぞれで、生徒たちの活躍する場が増えたということです。中高一緒に行っていたころは、高校生が何かをしているとき、中学生はそれを見て学んでいたわけです。それはそれで良い面もあるのですが、中学生の出番が少なく、なかには不満に思う生徒もいたようです。しかし、中高別々に行うようにしたことで、中学生の活躍の場が増えました。これはやってみて初めて気づいたこと。今後も分けて行うことにしました。これまで、学園祭は4月に行ってきましたが、今年度からは4月は高校生のみ、中学生は11月に文化発表会を行う予定です。

 さらに、1人1台の端末を持つなどコロナ禍で培ったICTの活用については、このまま継続します。みんなが集まることで得られる経験は、かけがえのないもので、それはオンラインで代替できるものではありませんが、それに加えてICT活用も続けていく考えです。


英会話などの授業で使用するディスカッションルーム(ランゲージセンター)

松本 一方、特に中学生にとっては、クラブ活動が重要な役割を持っていると思います。先輩と後輩のつながりができたり、努力することの大切さを考えたりする機会にもなっているのではないでしょうか。そういう意味で、貴校が中学生のクラブ活動を必修としていること、さらに、コロナが落ち着き、さまざまな制限がなくなることはとても良いことだと思います。

小林 先ほど、主体的に学んで、人生を自分で選んで切り開いていく力を育んでほしいという話をしましたが、その核になるのは、知識だけでなく、何かに夢中になった経験なども、その一つだと思います。「楽しいからこれをやる」という連続が大事なのです。よく高校生には、この大学に行きたいからという理由で勉強するより、この科目が楽しいから勉強するというほうが、“無限のエンジン”で動き続けられるという話をします。やらされたことを経験しているだけの生徒より、たとえば国語は苦手だけれど野球には夢中になっていたという生徒のほうが、夢中になる方法を知っている分、伸びるのです。だから、クラブ活動などを通じて夢中になった経験が大事で、それが学習へのエンジンを回す力になると考えています。クラブ活動を引退してからは、自習室に行き、勉強するのはつらいかもしれないけれど、いつか夢中になっている。それが、将来につながっていくのです。

立見 クラブ活動に力を注いでいた生徒のほうが、最後の追い込みでの伸びが大きいということもあるのでしょうね。

小林 時間がないなかで両立してきたことを切り替えて、集中モードに入ってからの伸びは大きいですね。もちろん、それがうまくいっている生徒ばかりではありませんが、集中の仕方や苦手な教科への対応力、好きな教科への打ち込み方がわかっているのだと思います。

23年6月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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