受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

伝統ある人格教育を柱に
学び合い、高め合いながら
自分らしく誇りある生き方をめざす

日本女子大学附属中学校・高等学校 校長 野中 友規子 先生

人間性を尊重する学園の理念
「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」

神田 学園の沿革についてご紹介ください。

野中 本校の創立者である成瀬仁蔵は女子の生涯にわたる教育の意義を説いて、1901(明治34)年、日本初の組織的な女子の高等教育機関として日本女子大学校を創設しました。これが現在の日本女子大学です。それと同時に附属の高等女学校が開校しました。これが今の附属中学校・高等学校です。ほどなく幼稚園と小学校もできましたので、幼稚園から大学・大学院、そして通信教育課程までを備えた、生涯学び続けることができる学校になっています。

聞き手1
サピックス
教育情報センター所長
神田 正樹

神田 開校時の入学者数を知って驚きました。この時代に、しかも女子の学校でなんと510名です。それだけ期待を寄せられていたのですね。先生ご自身は、どのような経緯で学園とかかわるようになられたのでしょうか。

野中 わたしは日本女子大学の卒業生で、大学4年生のときにゼミの担当をしていただいたのが、9代目学長の青木生子先生でした。学長になられたばかりでお忙しかったのですが、目をかけていただき、青木先生のお誘いで、卒業してすぐに本校に参りました。

神田 教育方針として創立者の成瀬先生が唱えられたのが「自学自動」です。これについてご説明いただけますか。

野中 「自学自動」とは「自ら考え、自ら学び、自ら行う」ということです。これをもう少し具体的に表したものが、成瀬仁蔵が晩年に教育理念を集約して残した三綱領「信念徹底」「自発創生」「共同奉仕」です。「信念徹底」は自分の信念に従って努力を続けるということですが、自分の考えを曲げないということではなく、常に「自分はどうあるべきか」を問い続け、疑問を持ったら「どうしたら次の新しい道が開けるか」と考え、柔軟に自分の人生を軌道修正していく。そんな不断に探求する力だと思います。そのなかで新しい発想や考え方が出てきたとき、それを世の中に問うていくことが、自発的な努力を通して創造的な能力を磨く「自発創生」につながります。ただし、自分一人の力ではできないこともあります。そのときは他者に協力を求め、共同の目標に向かって奉仕していかなくてはなりません。それが「共同奉仕」です。

 そうした教育理念に基づいて、自分の考えをきちんと持つこと、それを他者に発信すること、他者の考えもきちんと受け止めること、そして共に新しい何かができないだろうかと考えていくこと、その力をどう生徒たちに身につけさせるかということに、わたしたち教員は日々奮闘しています。

神田 三綱領は広い意味でのヒューマニズムであり、人間性を尊重していくことの土台になる、学園の一つの信念ですね。

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23年7月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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