受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

伝統ある人格教育を柱に
学び合い、高め合いながら
自分らしく誇りある生き方をめざす

日本女子大学附属中学校・高等学校 校長 野中 友規子 先生

書く力、表現する力を鍛え
自分が作った文章に自信をつける

聞き手1
サピックス小学部
教務本部
安酸 誠司

安酸 教科の授業はクラスを分けた少人数制のものが多いですね。

野中 土曜と日曜が休日ですから、進学校に比べれば授業のコマ数は少ないと思いますが、そこは質でカバーしています。英語・数学・国語などクラスを二つに分けて少人数で行う授業や、教員が2人入って進行する授業はたくさんあります。本校は「実物教育」を重視しており、机の上で勉強したことでも実際に自分の手で触れ、手を動かし、納得いくまで確認することを大切にしています。情操教育も重視しており、美術で黙々と自分の作品に向き合う時間も大切にしたいと考えています。

安酸 わたしは国語を担当していますが、貴校では、国語で感じる心や表現する心を育てることを重視し、作家研究やスピーチ発表、討論などに力を入れているそうですね。

野中 国語ではさまざまな作品を読んで読解力をつけるとともに、書く機会を数多く設けて記述力や表現力をつけるようにしています。小学校の段階だと言語化する手順がまだわかりませんから、ICTも活用して、言語化の手順を追うところから始めます。たとえば、1年生の最初は「ロイロノート」というアプリを使って、絵を鑑賞した感想を文章化しています。事前に鑑賞の仕方を教え、どんな色が使われているか、人は何人描かれているか、どんな表情をしているかなど、細かいチェック項目を挙げ、当てはまるものを選んでカードに書き込み並べていきます。こうして、絵の雰囲気を人に伝えるにはどんな順番でどう説明すればいいかを学んでいきます。

 国語だけではなく、多くの教科で書く機会をたくさん設けています。感想文、意見文、レポート、スピーチのための文章などさまざまなものがありますから、書き分けられるよう徹底的に訓練します。こうして書く力をつけていくと、自分のことばに誇りを持つようになります。たとえば、スピーチの添削などで教員が「こちらの表現のほうがいいのでは」と言っても、「先生、その表現はわたしの思いとは違います」なんていうやり取りもできるようになります。自分の文章に自信を持っているからです。そうした力を中学のうちからつけることは大事だと思います。

23年7月号 さぴあインタビュー/全国版:
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