さぴあインタビュー/全国版
伝統ある人格教育を柱に
学び合い、高め合いながら
自分らしく誇りある生き方をめざす
日本女子大学附属中学校・高等学校 校長 野中 友規子 先生
自治活動を通して学ぶ
異なる価値観の他者との共存
校長 野中 友規子 先生
神田 貴校は学校教育のなかで、初めて自治活動を導入したといわれていますね。
野中 自治活動は学習と並ぶ中学校生活の柱です。何かを決めるとき、方法として採用されるのは多くの場合、多数決だと思いますが、数の多さだけが重要ではなく、少ない意見のなかにも見なくてはならないことがあります。全員が同じ考えになることはありませんから、どこかで折り合いをつけなくてはなりません。そのときは「これは誰のための決まりなのか」「何のためにこの方針を決めていくのか」などと、根本に立ち戻って話し合います。社会に出れば、バランスを取って考えていくことが求められます。そのための礎をつくるのが中学校だと思っています。
上/カフェテリア方式の食堂。カレーやラーメン、日替わり定食など、メニューが充実しています
下/中3の教室前に作られたゆとりのスペース「もみじモール」
クラブ活動でも、たとえば「どうしてあの人が試合に出るのか」といったことでもめるような場合があると思います。そんなときは先生の考え、3年生の考え、1・2年生の考えを出し合います。すると、「こういう考え方もあるんだ」とか「自分のことだけを考えていたのではいけない」といったことを実感として持ちます。それはとても大事なことです。
神田 それこそ民主主義の土台ですね。本当に大切なのは、多数決で決めることではなく、どう少数意見を尊重できるかだと思います。
野中 話し合いの場では、少数意見を持つ生徒もしっかり手を挙げて、堂々と発言します。自分の意見も大切だと信じているからです。そういう自信は大事にして、さらに育てていきたいと思います。女子校ですから、学校のなかで当たり前にやってきたことが、社会に出ると違うということに気づきます。女性に対する場合と男性に対する場合に違いがあることに気づきます。そこで「どうにもならない」とあきらめるのではなく、少しでも良い方向に変えるためにはどうすればいいのかと考える。本校の生徒たちは、それができる土台を持っていると思います。
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