受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

独自の教育で体験する
学びを深める楽しさが
みずから道を切り開く力に

逗子開成中学校・高等学校 校長 小和田 亜土 先生

ヨット製作・帆走は全員が体験
学術的な「海洋人間学」講座も多彩

聞き手1
サピックス小学部
教務本部
小河原 信介

神田 さて、逗子開成といえば海洋教育が有名です。ヨット製作、ヨット帆走、そして遠泳には全生徒が参加するということですね。

小和田 ヨット製作は中1の10月から3月にかけて、技術・家庭の時間に行います。授業とはいえ、自分たちの命を預けるものをつくるのですから、非常に緊張感があります。工具や塗料の使い方も真剣に学んでいます。完成したヨットは中2の春に進水式を行い、逗子湾に船出します。

神田 操縦法やロープの結び方なども一つひとつみんなで練習していくそうですね。自分たちでつくったヨットを操作できるのは、貴校ならではの体験ですね。

小河原 海洋教育に関しては、文部科学省の教育課程特例校の指定を受けて以来、海についてさまざまな角度から学ぶ「海洋人間学」という授業にも力を入れていますね。東京大学と提携した講座もあると聞いています。

小和田 ヨット帆走と遠泳が中心の海洋教育の目的は、たくましい体と強い心を育成することです。人間の成長にとっては良い取り組みなのですが、その舞台である海について生徒たちは何を学んできたのかということを、教員間で考え始めた時期がありました。ちょうどその時期に、東京大学海洋アライアンス海洋教育促進研究センターの方々とお話しする機会があり、連携させていただくことになりました。以後、大学の先生や研究者の方に最先端の海の研究について講演していただく機会を持つようになり、さらに総合学習の時間などを使って、海を題材としたいろいろな探究学習をするようになりました。

神田 東大の名だたる教授の方々が出前講座をしてくださるそうですね。過去の講座のテーマを拝見しましたが、パソコンを使って波動を分析するなど津波に関する高度な内容もあり、専門家のご指導の下で体験できるのは良い刺激になると思います。災害のこともありますが、海の環境はSDGs(持続可能な開発目標)にも結びつくことですし、広い学術に対する視点がこの海洋教育のなかで育っていくのではないでしょうか。大学受験に向けても、将来への視野が広がりますね。

23年9月号 さぴあインタビュー/全国版:
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