受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

ゆとりある教育環境の下、
大学進学の先を見据えた
独自の教育を展開

早稲田実業学校中等部・高等部 校長 恩藏 直人 先生

初等部から中等部、高等部へ
多様性を広げて成長できる環境

聞き手1
SAPIX YOZEMI GROUP
共同代表
髙宮 敏郎

髙宮 初めに、早稲田実業学校の沿革についてお聞かせください。

恩藏 本校の歴史は1901(明治34)年から始まります。大隈重信先生の理想を実現するには大学の学風に基づいた中等教育が必要だという強い決意の下、本校が創立されました。中心となったのは第二代校長で、早稲田大学の第二代学長でもある経済学者の天野為之先生です。天野先生は中等教育でも大学に匹敵する内容の学び、特に商業の専門教育をしたいという考えをお持ちで、大隈先生の賛同を得て大学の近く(早稲田鶴巻町)に本校を開校しました。天野先生は早稲田大学の商学部がまだ商科だった時代の初代商科長ですから、その意味では本校は早稲田大学の商学部と近い関係にあるといえます。その後、創立100周年を機に2001(平成13年)に国分寺へとキャンパスを移転し、翌年には男女共学となり、さらに初等部も開校しました。

広野 初等部が開校して6年後に内部進学が始まった関係で、中等部の募集定員が半分ほどに減りましたね。ただですら難関だった中学入試はより厳しい戦いになりました。

恩藏 中等部の募集定員は半減しましたが、大きな流れで見ると、よくできたシステムだと思っています。初等部から約100名が中等部に上がり、これに中学受験を経て入学する生徒が加わって人数がおよそ倍になります。高等部ではさらに高校受験を経て、いろいろな中学校から約120名が加わるというように、段階的に新しい仲間が増え、世界が広がっていくのは、よくできているなと思います。

髙宮 多様なバックグラウンドを持つ仲間が増えていけば、いろいろな刺激を受けますから、学ぶ環境としては望ましいですね。先生は校長になられる前にも早実とご縁があったのですか。

恩藏 わたしは以前、大学の商学部長を務めていました。学部長は、付属・系属校の理事や評議員も務めることになっているので、10年以上前から早実のことをある程度は知っていました。また、わたしの子どもが本校に通っていたこともあり、保護者の立場としても少しは理解しています。

髙宮 大学の講義やゼミでも早実出身の学生と接する機会があると思いますが、どんな印象をお持ちですか。ほかの付属・系属校からの学生や、受験を経て入ってきた学生たちと比べて、違うところはありますか。

恩藏 基本的に早実の卒業生は元気がいいですね。本校では「豊かな学識と表現力」「次世代のタフなリーダー」「伝統の継承」を三つの柱とする、「SOJITSU PRIDE」を持った若者の育成をめざしています。この「伝統の継承」のなかには、何事にも全力で取り組むとともに「文武両道」の伝統を受け継ぐことも含まれています。明確に「文武両道」を掲げているわけです。「武」は武芸で、運動部の活躍がそれに当たるかもしれませんが、たとえば絵を描くことでもいいのです。勉学以外にも一生懸命に取り組むものを何か持とうという教育をしています。そういうところも元気の良さにつながっているのかもしれません。

広野 成績が悪いと早稲田大学に推薦で進学できなくなりますから、たとえ運動部での活動に時間を取られていても、勉強はしっかりやらなくてはなりません。野球部の活躍は有名ですが、成績優秀な部員が多いそうですね。

恩藏 野球部のOBは、大学でも総じて成績が良いですね。実は、大学の野球部は本校より成績に厳しく、一定水準より成績が落ちると試合に出られません。大学も高校も、野球だけ一生懸命にやればいいということはありません。

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23年11月号 さぴあインタビュ ー/全国版:
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