受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/全国版

ゆとりある教育環境の下、
大学進学の先を見据えた
独自の教育を展開

早稲田実業学校中等部・高等部 校長 恩藏 直人 先生

探究学習で鍛えられる社会での実践力
企業の協力を得て地元の情報誌を制作

広野 中等部の教育についてもお聞かせください。特色の一つは、総合的な学習の時間を使った探究学習だと思います。その一環で2年生が制作した雑誌『るるぶ特別編集 国分寺市』を拝見しましたが、書店に並ぶ『るるぶ』のような充実した内容ですね。

キャプションあり
上/生徒食堂・生徒ラウンジは、放課後も利用できる生徒の憩いの場です
下/体育館は二つあり、人工芝の中等部・高等部グラウンド、多目的コートなど運動施設が充実

恩藏 中等部の探究学習では、1年生は「疑問の探究」、2年生は「精査と創造」、3年生は「論の構築」を目標に、学校のある国分寺市と関連する課題を掘り下げていきます。『るるぶ特別編集 国分寺市』は発行元にご協力いただいて、毎年制作しています。編集部の方にご指導いただきながら、1年間かけて企画から取材・執筆・校正までを生徒たちが全部やります。完成品を見て、わたし自身も「国分寺市はいいところだな」と思いました。遺跡があって歴史もありますし、湧き水が出るなど豊かな自然もあります。市長にも見ていただきましたが、たいへん喜んでくださいました。

広野 地元と良い関係が築けていないとできない取り組みです。

恩藏 現在、グラウンドの横に新しい校舎を建てる予定があって、そこを探究学習の拠点にしようと考えています。少人数で機能的な教育を行うには、今のままではスペースが足りません。ゆくゆくは大学からも講師を招いて、少人数でディスカッションができるような場にしたいと思っています。

髙宮 そうしたトレーニングは大学入学後に生きてきます。特にゼミでは役に立つのではないでしょうか。先生は大学のゼミで企業と連携したプログラムをお持ちでしたね。

恩藏 企業と連携するゼミは早稲田大学には多いですよ。わたしのゼミでは特定の企業から実務課題を出してもらい、学生が調査・分析して、最後にその会社の経営幹部の前でプレゼンテーションをさせています。さまざまな業界の企業と連携しましたが、たとえば竹中工務店のときは地域活性化をテーマにしました。与えられたミッションは、「埼玉県の小さな町の空き家を使って、流動人口あるいは定着人口を増やすために、竹中工務店として何ができるかを考える」というもので、おもしろかったです。そういう場合も、本校で行っている探究学習の経験が生きてくると思います。知識があるだけでは、調査に出掛けても、地域の人にどう接していいかわかりませんし、プレゼンもできません。

髙宮 まさに『るるぶ特別編集 国分寺市』の延長のようなことですね。就職すると、そういう業務を行うことになるわけですから、中学・高校時代から、知識を身につけるだけではなく、探究力や課題解決力などを養うことがますます大事になってくると思います。

23年11月号 さぴあインタビュー/全国版:
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