受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

カトリックの教えに基づき
他者を思う精神を大切にする
“明星紳士”を育てる

大阪明星学園 明星中学校・明星高等学校 校長 野中 豊彦 先生

126年の歴史を持つ
カトリックの男子校

聞き手1
サピックス小学部
関西統括責任者
立見 貴光

立見 初めに、貴校の歴史からお聞かせください。

野中 本校は1898(明治31)年にカトリック修道会のマリア会から派遣されたウォルフ先生(初代校長)を中心とするフランス人修道士たちにより、現在の大阪市西区江戸堀に創立されました。2024年で創立126年になります。当初は、教員3人、生徒13人というささやかな出発でした。南区千年町を経て、1903年に現在の真田山のキャンパス(天王寺区餌差町)に移転し、商業学校として多くの人材を実業界に送り出し、特にフランス語や英語に特色のある「語学の明星」として知られるようになりました。そうした経緯があるため、本校は現在でもグローバル教育が盛んです。

 その後、第二次世界大戦中の1944(昭和19)年には、軍部からの命令で工業学校に転換しましたが、戦後の学制改革に伴い、1947~48年に明星中学校と普通科の明星高等学校から成る「大阪明星学園」として再出発しました。

 マリア会は、1817年にフランス南西部のボルドーに創設されたカトリック男子修道会で、フランス革命後の混乱した社会を立て直すには教育が最も大切であるとの考えから、生涯を青少年教育に捧げようとする人々が集まってきました。現在も世界中でマリア会の教育理念に沿った幼稚園から大学までの学校を経営していますが、それらのうち約3分の1は学費が無料の学校です。日本においては、東京の暁星学園と晃華学園、長崎の海星学園、札幌の札幌光星学園が本校の姉妹校で、5校の教員が集まって取り組み事例の情報交換などもしています。

石原 キリスト教を基盤とした教育方針を掲げていらっしゃいますね。

野中 教育方針は「キリスト教的価値観を身につける教育」「質の高い全人教育」「家庭の精神を基盤とする教育」「奉仕、正義、平和をめざす教育」「適応性と刷新・変革をめざす教育」の五つです。最初に掲げた「キリスト教的価値観を身につける教育」とは、クリスチャン・センスを身につけることだと学校説明会でも説明しています。そのセンスとは簡単にいうと、弱い人、困っている人、貧しい人、虐げられている人としっかりコミュニケーションを取り、さりげなく手を差し伸べることができるということです。それができるのが、本校の考える「明星紳士」の姿です。本校に入学し、そういう思いを持てる人間になって、自分の能力を最大限に伸ばしてほしいと考えています。この「伸ばす」というのは自分のためではなく、社会のため、周りの人々のためです。それに必要な環境を本校では整えています。

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24年2月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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