受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

カトリックの教えに基づき
他者を思う精神を大切にする
“明星紳士”を育てる

大阪明星学園 明星中学校・明星高等学校 校長 野中 豊彦 先生

新設した「S特進コース」では
サイエンスの探究学習を導入

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校長 野中 豊彦 先生

立見 貴校ではコース制を導入していますね。どんな特徴があるのでしょうか。

野中 本校では、ハイレベルな授業を展開する「S特進コース」が1クラスと「特進コース」が3クラス、そして、徹底的に基礎学力の習得をめざす「英数コース」が2クラスの3コースを設置し、生徒一人ひとりの向上心に応え、本人の希望と成績、そして適性に応じてコースを選択できるようにしています。このうち「S特進コース」は、国内外の最難関大学の理系学部や医学部に進学し、科学技術分野・医療分野で核となって社会に奉仕する人となることをめざすコースです。そのため、ハイレベルな授業を展開しつつ、サイエンスやテクノロジーを主テーマとした探究学習を積極的に導入し、学んだ知識を活用する力を育てます。「特進コース」は、高2終了時までに高校での大半の学習内容を習得し、応用力を育てる発展的な学習をし、さらに、多様なテーマの探究学習を導入して、主体的に学ぶ姿勢も育成します。そして「英数コース」は、生徒一人ひとりの特性に合わせた指導により、基礎力と総合的な学力を身につけると同時に、積極的に学ぶ姿勢を育てます。「特進」も「英数」も、めざす進路は難関国公立大学で、高2以降は文系・理系クラスに分かれ、本人の希望と適性によって習熟度別のクラスで学びます。

石原 3コースのうち、S特進は2021年度に新設されたコースですね。授業進度は特進や英数より速いのですか。

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校門を入ってすぐのところにある聖堂は学園のシンボルです
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2層構造の図書館は、3階のアカデミックフロアと4階のアメニティフロアに分かれており、合わせて約5万冊の蔵書があります

野中 はい。本来なら高1で履修する物理や生物といった理科の基礎を中3で学びます。このS特進の「S」はサイエンスの「S」で、探究学習に大きな特徴があります。中1から週2時間を使って、「研究とは何か」を考える授業を行うほか、エッセイや論文の指導もし、中2からさまざまな実験を行います。そして、中3で6グループに分かれ、中高生が集まって、みずからの研究を発表し議論し合う「サイエンスキャッスル」というアジア最大級の学会の関西大会に参加します。関西大会は本校で毎年開催されるもので、今年度のS特進の生徒たちが取り組んだ研究テーマとしては、「浄水場のメカニズムをヒントにした水質浄化の3ステップ」「身の回りの物質を用いた水中のリン酸の減少」「BMF(バイオメタルファイバー)の温度変化による収縮度の研究」といったものがあります。

 この「サイエンスキャッスル」には、特進コースや英数コースからも3チームが参加しました。S特進の生徒は高2の夏休みに、シンガポール大学で英語でのプレゼンテーションも行います。それに向け、調べ直しをして論文をまとめ上げるのですが、高2の1学期にはその論文を英訳してプレゼンテーションの練習もさせたいと考えています。

立見 一方で、ふだんの定期試験などで成績が思わしくない生徒へのフォローなども行っていると聞きました。

野中 はい。わたしが見ても、手を掛け過ぎではないかと思うくらいに、フォローしていますね。勉強の仕方から教えて、ノートを提出させ、それをチェックするなど、きめ細かく指導しています。試験の成績が悪かった生徒には、次の定期試験の2週間前からクラブ活動を休ませます。放課後の勉強会に参加してもらうためです。そうやって、できるようになったら徐々に手を離していくので、遅い生徒でも、高2くらいには自分でできるようになります。

立見 それくらい手を掛けてくれれば、保護者の方は安心でしょうね。自分がまだよくわかっていないなかで放っておかれたら、なかなか成果は上がらないでしょう。

野中 特に中学生の男子は、自分で対策を考えなさいと言っても、まだ難しい年齢ですからね。フォローは大切です。

24年2月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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