受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

2026年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 海城中学校

心のエネルギー

 「絶対に受かってやる! 緊張は自信で紛らわせる!」2月1日の息子は、振り返ることもなく、ずんずんと志望校の校舎に入っていきました。最初から校風に共感した私と、文化祭の生物部に一目惚れした息子にとって、第一志望の学校です。どんな言葉で送り出そうかと思案する私を尻目に、あっさりと去っていく後ろ姿にはエネルギーが溢れていました。多分うまくいく、そう感じました。

 こう切り出すと、ハッピーな受験生活のように感じられるかもしれませんが、そんなことはありません。

 私は、普段から親が先導する管理型ではなく、子供の自走を後ろから支えるような関わり方を意識しています。しかし、めんどくさがり屋の息子は、課題をやらず、受験はなかなか自走になりませんでした。6年生になると、「あれもこれもやってない」と親は焦り、時折厳しく注意することが増えていきました。そんなある日、SAPIXから「授業に来ていません」と連絡が入り、慌てて仕事から帰宅すると、暗い顔をした息子がそこにいました。傍には粉々になったお弁当箱。行き場のない感情をぶつけたようでした。私は、その時に初めて、息子が不安や焦りに追い詰められ、自信をなくしていたことに気付いたのです。心のエネルギーがなければ自走できないのは当たり前でした。当時の私は、「勉強しないのはやる気が足りないからだ」と決めつけて、サポートどころか注意ばかりして、知らず知らずに息子のエネルギーを奪っていたのかもしれません。結局、この日が親にとってのターニングポイントとなり、私は変わりました。そう、怒りは封印です。本気になれば十分目標に届くと信じ、勉強は先生方に一任し、家ではリラックスできるように心がけました。すると、いつの間にか息子は自走を始めていたのです。

 最終的に、本人が自信をつけたのは直前の集中的な過去問演習です。合格者平均点で満足せず、全て8割以上を取れるように粘り強く何度も取り組みました。本番10日前には急な発熱とまさかの併願校の不合格のダブルパンチに見舞われましたが、本人はブレませんでした。「受験生は直前まで伸びる」とはよく聞きますが、本当に目を見張る成長をみせ、「本番で失敗した科目があっても気持ちを切り替えて次を取りに行く」と、精神面まで逞しくなっていきました。合格を信じて努力したことが自信になり、息子を強くしたようです。

 本気になった子供に対して親ができることは、ひたすら心の充電でした。受験はあくまで通過点であり、結果より子供の頑張りの方が何倍も尊いと思います。実際に、受験を通して成長した息子の姿を目の当たりにすると、もう合否なんて取るに足らないことのようにさえ思えていました。

 受験は長丁場。大変な時こそ親子の心の充電が大切です。先生方には、丁寧に相談に乗っていただき、私も何度も充電できました。これからの皆様、応援しています!