受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

2026年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 海城中学校

父親ができること

 よく話題になる中学受験マンガに、自分の経験を押し付けて、受験勉強はこうやるべき、私の言ったとおりにお前はやればいいんだと言い放ち、子供のやる気をしぼませ、メンタルまでも削ってしまう父親の話が出てきます。いわゆる“あるある”だよねと巷では他人事の笑い話ですが、私の場合は笑えません。そういうタイプの父親だったからです。

 小学生は、友達と遊びたい盛りで、明確な自覚や目標を持って、受験勉強に打ち込むなんてできないだろうし、おだてて乗せるか、怒鳴り散らして言うこと聞かせるスパルタか、とにかくやらせるのが父親の役目だと思っていました。SAPIXで分からなかったら、私が勉強見てやるとおごり高ぶって、妙なところで父親の威厳を保ちたいというような変な気持ちもあったかもしれません。さらには、日々密に接して成長や課題を(いろいろ言い合いながらも)共有している妻と息子に対して、週末しかまともに一緒に過ごせない私は、被害妄想で、妻と息子の間に入り込めない疎外感や温度差を勝手に感じ、妻や息子を責めたり、こんなやり方じゃダメだとネガティブ発言ばかりしていた時期もあったと思います。

 それらは、とんでもない勘違いと大きな間違いで、マンガのようなダメ親父なのですが、何とかしたい、してあげたいと思うほど、そうした間違いを犯しやすい、ネガティブなループに陥りやすいのも中学受験の特徴なのではないかと思います。気づいた頃には時すでに遅しとならないように、親自身のストレスマネージメント、マインド・リセットにも注意を払ってください。親の精神状態は子供に伝染します。

 だとすると、私(父親)は、何ができるのか、何をしてあげられるのか?

 親の価値観やエゴの押し付けでこうしてあげたいと思っていることは、やらない方が良いし、やっても思うようにはいかないです。「私が勉強見てやる」なんて中途半端で終わるのがオチなので、勉強を教えるのはSAPIXの先生に全面的に任せましょう。もし、それでも「私がやる」のなら、最後までやり切らないといけません、そうしないと子供からの信頼は得られません。結局、思ったほど大したことはできません、してあげられませんでした。

 私って、マンガのダメ親父になっていやしないか?と気づいてから、父親としてできたことは、

余計なことは言わない、しない

子供の方から相談・質問・説明してくるのを待つ(言って来たら、とことん付き合う)

子供の主義・主張(勉強のやり方も)をまず受け入れる(否定しない)ようにする

くらいでした。

 小6の9月に始まったSS特訓から、不慣れなお弁当作りを始めて、元気に送り出すことを心掛けてからは、息子の中学受験生活を楽しみながら、一緒に成長させてもらっている実感が持てた気がしていて、何気ないことかもしれませんが、そういうことが一番大切なのかもしれませんね。