受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

2026年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 海城中学校

中学受験で過ごせた彼との濃密な時間

 4年生のある日、彼は言った、「俺、中学受験する」。サッカー大好き少年が、どういう風の吹き回しか自ら志願。私も中学受験した身、いつか話した何かが彼の心を捉えたか。30年ぶりの中学受験業界、当時のことなど記憶にない。令和の中学受験業界なんて見当もつかない。

 家庭学習が相当大変との噂だが、合格実績も高くしっかり教育してくれるというSAPIX。親としては心くじけて勉強嫌いになるのだけは避けてほしい。「大変そうだけど、できるか?」、親の心配とは裏腹にその質問がサッカーで培った勝負根性の強い彼をやる気にさせ、入室。

 入室当時は周りの生徒の学力に圧倒される。なかなか成績が上がらない4年生時。こんなにも中学受験のレベルは高いのか。ただ、彼はそんな中、何一つ弱音を吐かなかった。楽しそうに地道に勉強を続け、5年生、6年生1学期と順調にクラスを上げていった。このまま成績を着実に上げ、希望の学校に行けると思っていた。

 ただ、中学受験の恐ろしさ、そんなに甘くはない。最後の追い込みが始まる6年生11月頃、逆に成績が下がり始める。周りの皆も追い上げてきているのだろう。「大丈夫か?」の言葉に「うん、大丈夫」だけ。ここでも、彼は何一つ弱音を吐かなかった。でも、段々明るい表情が少なくなっているのはわかっていた。

 噂が聞こえた、「中学受験は親の受験、親のサポート次第」。確かに共働きの我々も仕事が忙しくなり、夏休み頃からろくなサポートもできておらず。「まずい、出遅れた」、気づいたのは12月中旬。もう全ての志望校判定テストも終了。SAPIXの先生との相談後、志望校を変更。すぐ年も明け、1月10日初めての本番受験。合否結果とともに点数、順位も発表してくれる学校。何とか合格したものの、想定の成績とはかけ離れた結果。怒涛の日々の中、頭が真っ白になった。

 でも、やるしかない。悔いが残らないようにやれることは全てやってあげよう。そこから、2月1日まで計画を一緒に立てた。都合悪く私の海外出張も重なる。弱音を吐かなかった彼が、唯一その日に弱音を吐いた。「時間がない」、泣きじゃくっていた。直前で初めての弱音、何かの糸が切れてしまわないか私の不安もピークに。

 最後の1か月間、できる限りの勉強を一緒に取り組んだ。SAPIX教材のやり直し、過去問実施と過去問分析、当日想定シミュレーション。私でさえこの勉強量は物凄く辛かった。でも、彼はまた弱音も吐かず、何でもやった。本当に辛く、孤独な闘いになぜそんなにも強く立ち向かっていけるのか、彼の心の強さには感服した。

 2月2日の合格発表の日。「合格」の文字を見た時、私は一人で大泣きした。最後の1か月、辛かったが濃密な時間を過ごすことができた。この1か月の事は一生忘れないだろう。

 これからは素晴らしい学校で素晴らしい仲間と素晴らしい未来が待っている。羽ばたけ、我が息子!