受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

Booksコーナー

※お好きな本のタイトルをクリックして下さい。その本に関する内容が、表示されます。

掲載月一覧 2026年4月|2026年3月2026年2月2026年1月2025年12月2025年11月
2025年10月2025年9月2025年8月2025年7月2025年6月2025年5月
Books目次へ△

2025年11月のBooks

 Booksコーナーでは、小学校低学年から高学年までを対象とした読み物や、保護者の方向けの図書を、新刊中心に紹介しています。学習の合間などに、ぜひ読んでみてください。

『春の雨にぬれて、獅子はおどる』

  • 岳明秀=作

  • いとうあつき=絵

  • 講談社=刊

  • 定価=1,650円(税込)

  • 対象:小学校高学年向け

男子は獅子舞、女子は笛
でもあたしは獅子を舞いたい

注目の一冊

 親の都合で、家族で母の故郷である岐阜県に引っ越すことになったナオコ。それはサッカークラブで男の子と一緒に練習を続けて3年、やっとフォワードを任されることになったタイミングでのことでした。泣く泣く始まった山村での暮らしは戸惑うことばかり。慣れない雪道での通学。1学年15人の小さな小学校。顔見知りばかりの窮屈な関係性で、言いたいことが言えない雰囲気。何よりも嫌なのは、仲良くなったヨモギが仲間外れにされていることでした。
 そんなある日、ヨモギにお祭りで舞う獅子舞の練習の見学に誘われます。伝統的に獅子舞を舞うのは男の子、笛を吹くのは女の子。でも笛より獅子舞に魅力を感じたナオコは、クラスのショータに「獅子ならやってみたい」と伝えます。女の獅子は前例がなく、ショータとヨモギは協力してくれますが、クラスの女子には「獅子をやりたいのは目立ちたいからでしょ」と言われてしまいます。
 慣れない土地での暮らしのなかで、主人公が伝統芸能にひかれ打ち込んでいく姿をさわやかに描く物語です。不安や失望感のなかで、くじけながらも勇気を持って行動する主人公。仲間と共に周囲の壁を取り払っていく姿がすがすがしく、元気をもらえます。中学入試頻出の「ちゅうでん児童文学賞」受賞作品です。

『じかんは ともだち』

  • てづかあけみ=作・絵

  • 偕成社=刊

  • 定価=1,980円(税込)

  • 対象:幼児向け

「いま」はつながっている
ずっと前もこれから先も

 「いま何時?」「3時」。時計を見れば何時かわかります。でも、時間って何でしょう。1日とは、1年とは何でしょう。時間はつながって流れています。長い長い川のように。
 1秒、1時間、1日、1か月、そして1年。時計の針から地球の自転・公転、世界の時差、さらには動物が生きる時間の違いまで。時間はつながっていますが、いろいろなところに違う時間があります。そんな時間の不思議さ、大切さが伝わる絵本です。親子でページをめくって、時間について思いをめぐらせてください。今という時間が特別な時間に思えてきます。

『きたよ きたよ きせつのこ』

  • 杉本深由起=詩

  • 吉田尚令=絵

  • あかね書房=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:小学校低学年向け

「季節を感じる心を」
との願いを詩に込めて

 春の子、はるこさんは忘れ物の名人です。つくしのぼうやも、小鳥のさえずりも忘れてしまい、そのたびに取りに戻るので、なかなか春がやってきません。きたと思っても、すぐまた走って帰ってしまいます。
 春がくるときはそんな感じがしませんか。はるこさん、なつおくん、あきえさん、ふゆたくん。きせつの子どもと人間の子どもの触れ合いをつづるひと言ひと言と、素朴なちぎり絵が、四季の美しさと喜びを表します。サピックスの教材でもおなじみの作者が、「季節を感じる心をなくさないで」と願って贈る詩の絵本です。

『エレベーターが止まったら』

  • 新井けいこ=作

  • 伊津野果地=絵

  • 文研出版=刊

  • 定価=1,540円(税込)

  • 対象:小学校中学年向け

ご近所さんたちのため
33階上り下りで大活躍

 テルとユースケは33階建てのタワーマンションに住んでいます。ある日、2人が学校から帰ると、エレベーターが止まっていました。急ぐ2人は非常階段で上がることに。その日は商店街で福引をして帰った後、マンション最上階のラウンジでクリスマスパーティーがあるのです。こんな日にエレベーターが止まるなんて。
 小さな子からお年寄りまで、さまざまな人が住むマンション。みんなが困るなか、お兄ちゃんコンビが大活躍します。近所の人々との交流で、大切なことに気づくテルたちを描く楽しい物語です。

おかあさんになった 警察犬アンズ』

  • 鈴木博房=著

  • 岩崎書店=刊

  • 定価=1,540円(税込)

  • 対象:小学校中学年向け

かわいい子犬たち
実は最強の警察犬一家

 「この犬が捜索できるんですか」。警察官はアンズを見て言いました。アンズはトイプードル。ぬいぐるみのようなかわいい姿を見れば、そう思うのも無理はありません。でも、わずかな臭いも見逃さない小型警察犬のほうが、高齢者や小さな子どもの捜索には向いている場合があるのです。
 小型警察犬のパイオニア、アンズは、数々の事件を解決しただけではなく、子犬たちが警察犬になる訓練を母として手助けしました。警察犬にかかわって40年の著者が、訓練から試験、事件のエピソードなど、小型警察犬の世界を教えてくれます。

『エリーは波にうかぶ』

  • ジェイミー・サムナー=作

  • 中井はるの=訳

  • 偕成社=刊

  • 定価=1,760円(税込)

  • 対象:小学校高学年向け

人生には家族、友だち、
おいしいパイがあればいい

 車いすで生活するエリー。祖父の認知症が進んだため、祖父母が住む田舎のトレーラーハウスで暮らすことになります。新しい学校は車いすの生徒に不慣れで、嫌なことばかりです。でも近所に住む風変わりな女の子、コラリーと知り合い、エリーの毎日は変わっていきます。
 自分だけではない。みんな背負っているものがある。新しい暮らしのなかで気づいたたくさんのことが、エリーを成長させていきます。お菓子作りが好きなエリーが作る、クッキーやパイのおいしそうな匂いが物語を温かく包みます。

『フェルマーの最終定理』

  • サイモン・シン=著

  • 青木薫=訳

  • 新潮社=刊

  • 定価=1,045円(税込)

やる前は役に立たないと思っても
やってみれば役に立つことがある


千葉校校舎責任者

 「フェルマーの最終定理」は、昔から誰も解けない難問として有名でした。数学者のアンドリュー・ワイルズが証明したのは30年ほど前ですが、それまでは証明できたとしても数学の進歩に役立つことはないといわれていました。それを彼は当時、最新の複雑な数学テクニックを使って解き、結果的に数学の進歩に大きく貢献しました。
 実は当時「不完全性定理」といって、「人間には証明不可能な命題がある」ということを証明した人がいました。そのときワイルズは、「自分の研究も不可能な命題かもしれない」と挫折しそうになりました。それでも好きなことに突き進んでいきました。その過程はとてもドラマチックです。彼が証明を論文で発表したとき、最初は専門家たちに不備を指摘されました。それを修正できなかったので、公表すべきか悩み続けました。公表してほかの人が修正すれば自分の単独発見にならないからです。でも悩み抜いて「公表するしかない」と決めた数日後、散歩中にひらめいたアイデアで証明を完璧なものにすることができました。
 誰しも効率的にやりたい、最短距離で行きたいと思いがちです。でもこの研究のように、役に立たないとみられていたことが、最終的に大きな意味を持つものになったという例は少なくありません。皆さんも得意不得意はあっても、役に立つかどうかわからないと思っても、まずは目の前にあるものに全力で取り組んでほしいと思います。
 ワイルズの完全証明に至るまでの道のりを描いたノンフィクションです。わたしはとても感動しました。算数が好きな人なら楽しめると思います。ぜひ読んでください。

ページトップ このページTopへ