英語力を高めながら
探究に特化した学びも進化させる
広野来年度から中学のクラス名が新しくなります。その狙いや各クラスの特色について教えてください。
村井もともとの本科とインターナショナル(インター)の2クラスを、来年度からEDGE(エッジ)とVISTA(ヴィスタ)に変更します。VISTAは現インターのAdvanced(アドバンスト)に当たる生徒を対象とし、高い英語力をベースに、世界的な課題を自分事としてとらえる力を養います。一方のEDGEは、現本科の「探究の学び」をさらに掘り下げるクラスで、日常の小さな気づきを出発点に、仮説・検証・考察のサイクルをみずから回せる人材の育成をめざします。それらに先んじて、今年、大きく変わったのは、両クラスの合同ホームルーム制度「NEXUS(ネクサス)」を導入したことです。本校を志望する方の「英語力を維持しながらゼミで深く学びたい」というニーズにも応え、両者の強みをより生かせる仕組みにしました。
広野NEXUSについて詳しく聞かせていただけますか。
村井NEXUSはEDGEとVISTAの生徒が一つのホームルームで学校生活を送る制度です。これまで本科生とインター生は別クラス編成でしたが、本科生の「物事を深掘りする姿勢」と、インター生の「グローバルな視野や発信力、積極性」を融合させ、高め合うことを目的に設定しました。ホームルームは英語で行われ、日常に自然と英語が溶け込んでいます。
市橋外国人教員と日本人教員による「W(デュアル)担任制」も採用し、グローバルな環境と日本の伝統的な学びを両立しています。さらに、中1の1学期にはEDGEとVISTAの生徒が共に探究に取り組む「FUSION」を実施します。これは、ワークショップなどを通して、互いの視点の違いを学び合うプログラムです。2学期以降は、EDGE生はプレゼミで興味に応じた複数のゼミを体験し、VISTA生は英語で学ぶ独自のプログラム「SAP(Salesian Academic Program)」へと進みます。11月には合同の宿泊行事も予定されており、異なるものの見方を共有する機会を継続して設けています。
サピックス教育事業本部本部長 広野 雅明(中央左)
自分で仮説を立て
検証する体験を重ねることで
思考力を大きく伸ばしていきます
MEDICO推進部部長 田中 赳裕 先生(左)
21世紀に必要な「世界市民力」を育てるために
本校は進化し続け、生徒の成長につなげます
教頭 村井 純 先生(中央右)
外国人教員と日本人教員によるW担任制で
英語環境と日本らしさを両立できます
本科推進部部長 市橋 朋之 先生(右)
新プロブラム「MEDICO」で
医学やデータサイエンスを深く学ぶ
広野本科から派生した新たなプログラム「MEDICO(メディコ)」も、今年度から本格的に始動しましたね。
田中MEDICOは、本科のなかで、理数系やデータサイエンス、医学・理工学に関心のある生徒に向けて設計されたプログラムです。中2から数学・理科・情報を中心に、教科の枠を超えて学びます。単なる高校内容の先取りではなく、中学で細分化された単元をつなぎ直し、横断的に知識体系を再構築しています。たとえば「熱と化学反応」や「電気・原子・電流」を一体として学んだり、気象現象を物理の面から解き明かしたりしています。また、数学の定義をただ暗記するのではなく、論証し直したり、中学生のうちから英語論文に触れてアイデアを議論したりと、高度なアプローチを行います。
広野知的好奇心を刺激する内容ですね。実際に参加している生徒たちの反応はいかがですか。
田中あきらめず、生き生きと取り組んでいます。開始から半年ほど経った今、論文を読むことにも慣れてきました。答えが決まった実験ではなく、自分で仮説を立て、試行錯誤しながら検証する体験が、思考力を伸ばしていると感じます。
広野こうした先進的な環境のなかで、学校としては生徒たちにどのように育ってほしいと考えていますか。
村井改革4年目を迎え、1期生が高校生となり、「進学・キャリアという出口」を見据える時期に入りました。本校がめざすのは、社会に出てから活躍できる「世界市民力」を身につけた人材の育成です。学校側がより良い環境をめざして進化し続ける姿を生徒たちに示し、その刺激を成長につなげていく、そうしたポジティブな循環を学校全体に起こしたいと考えています。実際に、中3段階の進路調査では、偏差値や大学名ではなく、「自分の探究テーマや関心に合ったゼミがあるか」などを軸に大学や学部を選ぶ生徒が増えてきました。
広野すばらしい変化ですね。海外大学への進学を希望する生徒へのサポートなども進んでいるのでしょうか。
市橋はい。海外大学進学に向けた専門チームを立ち上げたほか、特定の担当者だけではなく、教員全員がある程度の相談に対応できるよう、職員室全体でノウハウを共有・研究しています。生徒がどんな夢を描いても、背中を押せる体制を整えています。
広野最後に、受験生へのメッセージをお願いします。
村井本校の教育改革に終わりはありません。10年後の社会を見据え、変化を恐れず、みずから成長していきたいと願う受験生の皆さんを、心よりお待ちしています。
田中MEDICOは理数・医学・データサイエンスに興味がある方を歓迎します。理数的な思考力は、将来どんな道に進んでも強力なツールになります。ぜひ挑戦してください。
市橋EDGEクラスでは、身近な問いから自分なりの真理を深掘りしていきます。自分のことばで真実を語れる哲学者のような生徒に出会えることを期待しています。
ゼミでは探究活動と合わせて、日常的にプレゼンテーションを実践。日ごろの成果は10月の学園祭でも披露されます