受験ライフをサポートする 進学情報誌 さぴあ

さぴあは、進学教室サピックス小学部が発行し、内部生に配布している月刊誌です。

さぴあインタビュー/関西情報

人格形成と学力伸長を両輪に
「やり抜く力」を育てる
伝統ある女子教育の名門

四天王寺高等学校・中学校 校長 中川 章治 先生

伝統の人間教育を大切にしながら
ICTなど新しいものも導入

立見 次に、貴校が取り組まれている教育の特徴について伺いたいと思います。創設以来、重視されているのは、どんなことでしょうか。

中川 本校の二枚看板は、仏教教育と女子教育ですので、仏教を基にした人格形成にはとても力を入れています。まず、新入生を対象とした授戒(仏の定めた戒律を授けていただくこと)があります。この3年間はコロナ禍のためにできませんでしたが、今年度から復活しました。しかも、以前は、学校の講堂で行う簡略化した形での授戒だったのですが、今年からは、お寺で本来の形の授戒を行えるようになりました。また、在学中は、朝礼で般若心経の読誦もします。

立見 根本として、心の教育を大切にされているのですね。

先生写真
校長 中川 章治 先生

中川 今の時代に求められているのは、優しさと、そのなかにある凛とした強さを秘めたリーダーシップです。大学進学だけを意識した教育では、それを育てることはできません。本校では、人格と学力の両方をバランスよく育んでいきたいと思っています。

立見 近年の新しい取り組みとしては、どのようなものがありますか。

中川 この3年間でICT化がかなり進みました。全クラスで電子黒板を使った授業も行っていますし、保護者との連絡にSNSを使い、リモートでの面談が浸透したほか、インスタグラムも始めました。Wi-Fiについては早い時期から整備していたので、生徒たちが学校へ来られない時期も、オンラインを使った双方向の授業をスムーズに始めることができました。そうしたやり方は、通常どおりに学校で対面授業ができるようになった今も併用し、欠席者に対する、授業のライブ配信などを行っています。

 そのように、いろいろなツールを使うことで、授業のスタイルは変わってきましたが、「最後までやり抜く」「失敗してもすぐ立ち上がる」「疲れたら、休憩してもいいからあきらめない」というのが本校の生徒の本来の気質です。そうした伝統的な気質についてはこれからも大事にしていきたいです。

立見 英語教育に関してはいかがでしょうか。

中川 通常の授業をしっかり行ったうえで、体験学習を増やしています。その一例が、先ほどお話しした海外への修学旅行や、希望制の語学研修などですが、そのほか、校内で外国人講師と英語漬けの5日間を過ごす希望者向けの語学研修があります。このプログラムの特徴は学年の垣根を超えた、レベル別のクラス編成で実施すること。また、夏休み中の3日間、ハーバード大学の学生に来てもらい、ディベートや意見交換などを行う「SLICEプログラム」も希望者向けに実施しています。このように、スピーキング力アップのためのプログラムを行う一方、文法や基礎はしっかり学んでおかないと大学で必要となる論文の読み書きができないので、文法の学習もしっかりやっています。

23年9月号 さぴあインタビュー/関西情報:
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