受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

2026年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 麻布中学校

挫折からの栄光

 「鉄道研究部のある中学校に入りたい!」

 中学受験の始まりだった。中学受験を題材にしたドラマの鉄道好きの子の話を一緒に見ていたのがきっかけだった。両親共に中学受験の経験もなく、初めは深く考えもせず未知の世界へ飛び込んだ感覚だった。4年生の5月に受けた入室テストで合格し4か月遅れのスタート。毎回の課題をコツコツとこなし、入室して半年後には最上位クラスまでになっていた。学校より塾の授業が楽しい! 絶対休みたくない!と言うほど、SAPIXの虜になっていた。

 5年生に上がる時に主人も協力してくれるようになり、2人体制のサポートが始まった。その年の麻布の文化祭を見に行った時、この学校に絶対入りたい!と目を輝かせていたのが印象的だった。その後、開成の文化祭を見て開成に入りたいという気持ちへ徐々に変わり始めていた。6年生初めての個別面談の時に、開成を狙える位置にいますので目指してみませんか?と声を掛けて頂き本格的に開成を目指すことに。しかし6年の夏頃までのサピックスオープンの合格可能性が40~60%であったものが、秋以降の学校別SOでは20%が2回続きスランプへ。11月の個別面談で先生より開成から麻布への変更を勧められた。

 決定権は息子に委ねていたものの、なかなか決められず時間だけが過ぎていった。その頃受験に対するモチベーションが下がり課題もこなせず明らかに挫折していた。このままではこの子はダメになる。表情の冴えない息子と向き合い、今の気持ちを聞き出した。「ずっと開成に入るのを目標に毎日頑張ってきたのに本番直前で諦めなきゃならない。麻布の過去問を解いても合格点まで届かない。何のために受験するのか。そして何より自分から開成に行きたいと言ったために今までずっとサポートしてきてくれた両親に申し訳ない。安易に麻布へ変更したいとは言えなかった」と、ようやく本音を聞くことができた。「開成は悔しくも諦めなきゃならないけれど、あなたは1人じゃない! 最後までちゃんと付き合うから、麻布、絶対に合格取りに行こう!」と声を掛けた。泣きながらも強く頷く息子。目の色が変わった瞬間だった。12月末の急なコース変更。実質1か月も対策できずなかなか麻布の出題傾向に慣れない息子。「開成コースで鍛えてきたので大丈夫。後はどれだけ麻布に寄せられるかです」との先生の言葉を信じるしかなかった。

 2月1日の本番、緊張しつつも終わった時の表情はどこかスッキリしていた。祈る気持ちで迎えた結果発表の日、見事に合格を勝ち取ることができた。その時のとびきりの息子の笑顔が今でも忘れられない。直前の挫折からの奮起が息子を一回りも二回りも大きく成長させた。「涙あってこそ努力あってこそ栄光という結果が輝く」。ある有名な神社のありがたいお言葉の通り、我が家の中学受験は第一志望校合格という素晴らしい結果で幕を閉じた。SAPIXの皆様、心から感謝申し上げます。