親の心配をよそに、力強く走り抜けた日々
「渋幕に行きたい」。本人がそう言い出したのは5年生の頃でした。3年生の夏からSAPIXに通い出したものの明確な志望校があったわけではなく、本人の学びたい気持ちに寄り添った結果の入室でした。幼い頃から、とにかく「我が道を行く」、レゴRブロックや読書が友達、そんな幼少期を過ごしました。人と関わりたい気持ちがありながら、どうも周囲とは馴染めない、そんな苦労も人一倍してきました。
ところが入室後は、切磋琢磨できる素晴らしい友人、先生方に恵まれ、あっという間に本人にとって居心地の良い場所となりました。そしていつの間にか人生の目標ができ、進みたい道も自分で見つけてくるようになりました。
6年生になってからは授業時間もぐんと増え、体調を崩すことも間々ありましたが、それでも「SAPIXには行きたい!」と言い続けました。親からみても、我が子の頑張りには頭が下がる思いでした。
一方、家庭学習においては課題や反省も多かったです。朝起きてすぐ勉強、帰宅後すぐ勉強、というお子さんも多い中、息子はそれとは程遠い生活をしていました。気分が乗った時には集中するものの、気づけば好きな事に没頭したり、遊びに出かけたり、毎日の家庭学習ができているとは言い難い日々でした。
受験が迫る中、親としては非常に焦り、先生にご相談したこともありました。先生からは、「陽向くんは、やる時とやらない時のムラがあるタイプのお子さんなので、見守ってあげてもいいかもしれませんね。」と言っていただき妙に納得しました。確かに、ムラはあってもやり出したら集中する、それもまた個性かな、と。周りが焦るより、できるだけ本人のやる気につながる環境を整えてあげよう、と考えると親としてもやるべきことが定まった感覚がありました。
1月から始まった入試では先生のご助言に従い、4校を受験しました。体力も必要だから、少し絞っても良いのではと危惧しましたが、チャレンジしたい本人の思いを尊重しました。結果的に徐々に合格を重ねていくことで、精神的に一番不安定となる直前期に自信をつけることができ、とても良い流れになったと思います。
最後のマンスリーテストも、途中の第三志望の受験でも、息子は思うようにいかずに悔しい思いをしました。しかし悔しい思いすら糧にして、最後の最後まで、息子は、偏差値も、精神的にも成長し続けました。受験期間中も子どもは成長する、そんなSAPIXの先生の言葉は本当であると実感したエピソードです。
個性の強い息子と歩んだ12年。親も子も苦労の多い日々でしたが、渋幕から合格のお便りをいただき、長い冬を越え、やっと春が来た、まずはそんな思いでした。
ここからが、また新しい歩みのスタートです。支えてくれた全ての方々に感謝を忘れず、これからも日々精進するとともに、しっかりと、自分の青春を謳歌してほしいと願っています。