受験ライフをサポートする進学情報誌 さぴあ

2026年度中学入試 親子で歩んだ 受験の軌跡

進学校 開成中学校

「勝海舟」に導かれ 愚直な努力で掴んだ第一志望合格

 2月1日、第一志望校の試験を終えた息子が「受かったかも。勝海舟が出た」と顔を紅潮させて出てきました。「勝海舟」、それは模試やサピックスオープンで、「板垣退助」と2度も書き間違えた問題でした。以来、我が家では「勝海舟」は、絶対に忘れてはいけない教訓を象徴する合言葉になっていました。それが、本番で出題されたのです。過去のテストでも手応えと結果がほぼ一致していたため、「全力を出し切れたのだな」と、少し安心して帰路につきました。

 しかしその夜、サピックスからきつく禁じられていた答え合わせをしてしまったのが間違いでした。得点源と考えていた算数で、単純な思い込みから大問を丸々一つ落としていることが判明したのです。いつもはどんな結果でも淡々としている息子が、この時ばかりは目を腫らして床に就きました。明日も試験があるのに…。不憫でならず、「なぜ受験をさせてしまったのか」と、入室前まで時間を巻き戻したいと願いながら、眠れぬ夜を過ごしました。皆さま、合否発表前の答え合わせは、絶対にしてはいけません。

 それでも息子は強かった。翌朝、まだ暗いうちに起き出し、いつも通り「基礎トレ」に取り組む目には力が戻っていました。その夜には、2日に受験した学校の合格が判明。そこは低学年の頃に中学受験を志すきっかけとなった学校でもあり、ようやく家族に笑顔が戻りました。

 そして迎えた3日。この日の受験校の試験終了と同時刻に、第一志望校の発表がありました。これ以上息子がつらい思いをする姿は見たくない、と躊躇する私たちを横目に、息子は「早く見よう」と迷いなくスマホの画面をタップしました。そこに躍った「合格」の文字。腰を抜かす両親をよそに、息子が放った一言は「iPhone買って!」。誰よりも冷静で、そしてたくましく成長した姿がそこにありました。

 期限までに書類を受け取るために急ぎ向かった最寄り駅で目に飛び込んできたのはなんと、因縁の「勝海舟」のレリーフでした。思わず手を合わせました。ありがとう、勝海舟。

 小1で入室しましたが、学年が上がるほど成績が安定しなくなりました。そんな息子を、算数を「息抜き」と言えるまで鍛え上げ、苦手な国語を底上げし、理科と社会の知識不足を補い、最後まで叱咤激励してくださった先生方には、感謝の言葉もありません。問題まで的中させてくれて、サピックス、ありがとう。

 そして何より、一度も弱音を吐かず、勝海舟が重んじた「愚直」という言葉そのままにやり切った息子を誇りに思います。小さな背中を丸めてコツコツと鉛筆の音を響かせ続ける君の後ろ姿を忘れません。伴走させてくれて、本当にありがとう。

 最後に、膨大な教材の整理や学習計画作りなど全力でサポートしてくれた妻と、兄に付き合ってたくさん我慢をしてくれた妹弟に、この場を借りて心からの賛辞を贈りたいと思います。みんな、ありがとう。